WEリーグの初代チェアとなった岡島喜久子氏(写真提供・日本サッカー協会)
WEリーグの初代チェアとなった岡島喜久子氏(写真提供・日本サッカー協会)
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「いよいよ」と言うべきだろうか。日本で初めての女子プロサッカーリーグ=WEリーグが、来秋、開幕を迎える。初年度参加チーム選定を始め、リーグ立ち上げの総指揮を執るのが、岡島喜久子チェア=代表理事だ。「もちろん、私にとって日本の女子サッカーへの思い入れというのは、大変、強い」と意気込むリーダーの、特異なキャリアを振り返る。今回は昨日(8月27日配信)に続く後編。

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 世界大会で3大会連続、決勝へ残るような高い競技力を持った選手たちがプレーしていながら、なでしこリーグの市場価値は低迷していた。WEリーグの創設は、日本の女子サッカーリーグにとってリブランディングのチャンスだ。コロナ禍をはじめ、来秋の開幕に向けて、WEリーグを取り巻く状況は、楽観視できない。それでも、新規リーグ参入に向けて、17団体から手が上がった。

 プロ化のタイミングを「2021年秋」と打ち出した時点では「2020年の東京オリンピック」「2023年の女子ワールドカップ日本開催」という追い風が見込まれていた。それが、今年に入って「コロナ禍」という大逆風が吹き荒れ、前者は延期が決定し、後者は戦略的に招致活動から撤退と画に帰した。

 そうした中で、7月31日、WEリーグの初年度参入クラブの申請が締め切られた。予定されている開幕時のチーム数は、6~10と数字に幅を持たせていたが、17団体が参入の意思を伝えた。厳しい状況を認識していた岡島チェアも、これだけ多くの手が上がったことに、驚き、「個人的には、6チームでのスタートはないだろう」と口にした。

「(開幕時は)『6チームから10チーム』となっているんですけれども、(下限の)6チームは、たぶん『手を上げるチームが少ないだろう』と考えて、そういう話になったんじゃないかなと思います。それが実際には、17チームも手を上げてくださいました。6チームはないだろうと思っています。8チームか、または10チームで『財政的にちゃんと破綻しないでやっていけるかどうか』というところが大事だと思っています」

 参入クラブの発表は、10月の上旬から中旬を予定している。地域バランスは考慮せず、成績が良いチームを優先的に選ぶわけではない。

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「WEリーグを中心としたコミュニティを作ってほしい」