「自治体のサポートも必要だというお話をしましたが、(参加チームの)ホームタウンには、WEリーグを中心としたコミュニティを作ってほしいと思うんですよね。自治体の協力も必要だと思いますし、あとは『女子サッカーを盛り上げていこう!』という熱意でしょうか。やっぱり、それぞれの組織でトップの方は男性が多いと思いますが、その方たちがどれだけ真剣に『女子サッカーを盛り上げていこう!』と考えてくださっているのかも、ヒアリングしていきたいです」

 参入の意思表示をしたクラブには、なでしこリーグよりも高いハードルを課した。最も大きな部分はもちろんプロ化を定義づける選手契約だろう。3種類の契約条件のいずれかで、合計15人以上の選手とプロ契約が義務付けられた。これまでアマチュア選手の事情に合わせて、多くのチームでは夜間に行われていた練習を含めて、選手を取り巻く環境もプロ仕様へ変わる。それは、プレー内容の向上にもつながるだろう。

 C契約選手を対象にした最低年俸の270万円については、高いと感じるか、低いと感じるかは個人差があるかもしれない。ひとつの指標として、大卒初任給も参考になっているらしい。昨年9月に国税庁が発表した「平成30年分民間給与実態統計調査結果」をあたると、20~24歳の女性の平均年間給与所得は248万6千円。女性全体では293万1千円となっている。夢がある金額とまではいかなくても、水準並みには達していると言っていいだろう

 また、チームによっては、僅かなスタッフの超人的な努力でカバーされてきた運営業務も細分化され、それぞれに専任のスタッフ雇用が義務付けられている(ごく一部、兼任も認められている)。そこには、名称の「WEリーグ(Women Empowerment League)」に含まれる「女性活躍」のステージも用意されている。

「各チームに『女性スタッフを50%』と数字を立てて、お願いしています。目に見える目標値を出さないと、どうしても男性で固まってしまいます。自発的に女性の人数が増えていけばいいのですが、最初に『スタッフの50%は女性』『監督とコーチについても出来る限り女性』という形でお願いしておいた方が、達成しやすいと思います」

 聞こえの良いフレーズにとどめず、誰の目にもわかりやすく数値目標を立てるところが、数字に厳しい世界で生きてきた岡島チェアの真骨頂だ。さらに、この時代だからこそ、女性がいっそう、外の世界で羽ばたけるのではないかとも考えている。

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女子サッカーが市民権を得るには今がチャンス?