「地元・川崎球場でのFMWの電流爆破マッチなどを観に行っていた。だから自分の中では、ファンの時代からプロレスはインディ団体派だった。自分自身が天邪鬼なのかもしれないけど、いわゆる弱小団体を盛り上げたい気持ちが強い」

 川崎から沖縄へ。リタイアメント後のゆとりを求めての移住ならわかるが、敢えてタフな状況でのプロレスを選んだのには理由もある。

「自分のルーツ、母親が沖縄人なのもあるのかもしれない。沖縄に来ると心から安心する。土地や気候もそうだけど、1番は沖縄の人たちが大好き。ここの人たちに心から笑って楽しんで欲しいという気持ちが強い」

 GOSAMARUはトレーニングの合間には、観光地・国際通り屋台村で店員として接客をおこなっている。現在はプロレス1本での生活が苦しいこともあるが、地道な宣伝活動も兼ねる。普段はマスクを脱いでいるが、求められれば着用しての記念写真などにも気軽に応じている。

「例えば新日本プロレスが毎年、沖縄武道館で大会をすると3000人くらい集まる。沖縄にもプロレスが盛り上がる素地はあるのに、我々の団体はお客さんが20人くらいの時もある。知名度の違いはすぐに埋めることはできないから、沖縄の人たちにまずは琉ドラを知ってもらいたい。我々は沖縄のインディレスラーとして誇りを持っていますから」

 プロレスとは直接関係ないところでも、地域還元を兼ね宣伝活動をおこなっている。中城村護佐丸歴史資料図書館において、子どもたちなどへの読み聞かせ会も開催している。

「護佐丸歴史資料図書館があると知って尋ねてみた。何かできないか、と話し合いをして、やらせてもらえるようになった。沖縄では子供たちがプロレスをあまり知らないので、まずは読み聞かせ会を通じて、レスラーの存在を知ってもらう。地道なことですが、地域での知名度を高めることが重要」

「ネーブルカデナアリーナという常設会場がある。週1回の団体合同練習などもできて、そういう部分で本当に恵まれている。でも集客には苦労しているのが現実。嘉手納は少し遠いイメージがある。また仮に那覇市内、特に国際通りなどで大会やっても、その辺は駐車場が足りない。完璧な箱=会場はないので、団体や選手を知って好きになってもらうことで、会場へ足を運んでもらえるようになるしかない」

次のページ
沖縄で誰もが知る団体に…