それは大食いしか取り得がなかったはずの人がなぜ飽きられずに生き残り、これほどの長期安定タレントになったのかということ。そこで改めて、彼女の15年間を振り返ってみるとしよう。

■つんく♂がプロデュースで歌手デビューも

 彼女が初めて公の場に登場したのは、05年10月。「元祖!大食い王決定戦」(テレビ東京系)の出場者としてだ。結果は6位だったが、存在感は十分だった。浜崎あゆみに憧れて習得した派手なメイクと162センチ45キロというスレンダーな体型、そして優勝にこだわらず、好き勝手に食べる自由さなどから、進行役の中村有志(現・ゆうじ)に「ギャル曽根」というあだ名をつけられ、その大食いタレント人生が始まる。

 半年後には同番組で優勝を果たし、その異能とキャラに目をつけたナベプロが契約を結んだ。「ラジかるッ」(日本テレビ系)などで大食いぶりを披露しつつ、07年6月には、つんく♂がプロデュースの「ギャルル」で歌手デビューまでしてしまう。「ギャル」と「アイドル」を融合させた3人組ユニットだ。

 当初は辻希美と時東ぁみ、彼女という3人だったが、結成直後に辻ができちゃった婚で離脱。代わりに安倍麻美が加入した。「そねね」ことギャル曽根は辻からリーダー役も引き継ぐことになる。デビュー曲「Boom Boom めっちゃマッチョ!」はオリコン16位を記録した。

 この年の暮れには「新語・流行語大賞」で「大食い」がトップテンに入賞したことから、受賞者として表彰式に登場。まさに大ブレイクしたわけである。

 とはいえ、こうしたキワモノ的ブレイクは転落と紙一重だ。流行語大賞に呼ばれると翌年には消える、というジンクスもあり、彼女は一発屋になってもおかしくなかった。実際、この半年後に出た前出の著書のなかで、こんな発言をしている。

「今、タレントとして活動するうえでの私の武器は“大食い”だけ。でも、タレント活動を長く続けるには、それだけじゃダメだ、って思いはじめたんです。大食いはこの体質があるからできることで、一生続けられないかもしれないですよね。お母さんも若い頃は私と同じくらい食べてたけど、30歳を超えたあたりで、あんまり食べられなくなった、って言ってたし」

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業界で一目置かれる存在に