独特のコミュニケーションに力がある内田篤人 (c)朝日新聞社
独特のコミュニケーションに力がある内田篤人 (c)朝日新聞社

 今シーズンの欧州シーズンも開幕から3カ月が経過し、中盤に差し掛かろうとしている。欧州主要国の1部、2部に50人弱の選手を送り込んでいる日本サッカー界だが、安定の活躍を見せるのがサイドバック陣だ。

【「コミュニケーションの世界大会なら優勝できる」豪語する選手は?】

 33歳のベテラン・長友佑都(ガラタサライ)は今季もUEFAチャンピオンズリーグとトルコ1部の超過密日程をタフに掛け持ちし、29歳の酒井宏樹(マルセイユ)もフランスリーグ1部でほぼコンスタントに出場。今夏からポルトガル1部に参戦している安西幸輝(ポルティモネンセ)も開幕から7試合フル出場を続けてきた。10月26日のジル・ヴィセンテ戦は欠場したが、これは温存との見方が強く、実際、30日の強豪ベンフィカ戦にはフル出場している。

 さらに今夏、19歳で海を渡ったU-22日本代表候補の菅原由勢(AZ)も、右サイドバックと右サイドアタッカーの2つのポジションを掛け持ちしつつ、日に日に存在感を高めている。10月24日の欧州リーグ(EL)・アスタナ戦のゴールで見る者を驚かせたのは間違いない。続く27日のオランダ1部・PSV戦では4-0の大勝に一役買い、前半で退いた対戦相手の堂安律より大きなインパクトを残したと言っても過言ではないだろう。

 かつて、内田篤人(鹿島)や酒井高徳(神戸)がドイツにいた時代から「日本人の中で欧州で最も成功できるのがサイドバック」と言われてきたが、その傾向は今も健在のようだ。

 こうしたサイドバックの面々に共通するのが、自分の考えや意見をハッキリ口にし、行動で示す「発信力」に長けていること。「コミュニケーションの世界大会があったら優勝できる」と自ら言い切る長友を筆頭に、論客として知られる内田、フランスへ赴いてからより鋭い戦術眼を口にするようになった酒井宏。ドイツ人相手に真っ向から持論を展開できる酒井高と、彼らの巧みな表現力にこれまでの日本代表が助けられてきた部分は少なからずあった。

次のページ
日本人離れしたキャラの菅原