羽生結弦の言う「壁」とは何なのか…究極の目標へ向けスタート切った男の決意 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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羽生結弦の言う「壁」とは何なのか…究極の目標へ向けスタート切った男の決意

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「フィギュア・カナダGP」メダルを手に笑顔を見せる優勝した羽生結弦 (c)朝日新聞社

「フィギュア・カナダGP」メダルを手に笑顔を見せる優勝した羽生結弦 (c)朝日新聞社

 究極のフィギュアスケーターとは何か。その答えは、紅葉の美しいカナダ・ケロウナの地にあった。グランプリシリーズ第2戦スケートカナダ。男子で14年ソチ、18年平昌五輪連覇の羽生結弦(24=ANA)が世界最高得点に肉薄する合計322・59を披露し、頂点に立った。

「久しぶりに心の中から自分に勝てた」

 羽生にとっては今季のグランプリシリーズ初戦だったが、思わず首を縦に振る至極の演技だった。

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 ショートプログラム(SP)「秋によせて」。冒頭の4回転サルコウを滑らかに決めた。「失敗は繰り返したくない」。今年3月の世界選手権ではジャンプでミスをした苦い過去をぬぐい去った。続く3回転アクセルは出来栄え評価のGOE4・00点を引き出し、満点の12・00点。自身の持つ世界最高得点に迫る109・60点を叩き出した。

 翌日のフリーも衝撃は続く。ループをこらえて着氷し、サルコウ、トウループの4回転ジャンプを跳ぶ。そして、後半には4回転トウループに1回転オイラーと3回転フリップを加えた世界初の3連続コンビネーションを成功させた。GOEは4・07点が付き、20・90点という異次元のスコア。単発の新技はない。これまで精度を高めてきた技の精度とアレンジで、自己最高となる212・99点。必然の結果だった。

 挑戦こそ人生。羽生は4回転ルッツ、そして、前人未到の4回転アクセルの習得を目指している。そのジャンプだけが強調されるが、羽生の演技には美しい軌道を描くステップや、鋭く、滑らかなスピンが欠かせない。さらに、今大会の演技構成点はSP全5項目で9点台後半をマークし、フリーでも最低ラインが9・46点と異次元のレベル。卓越されたスケーティングスキルの証明だった。

 羽生は言う。「こういう演技ができているからこそ、より高いものを目指していきたい」。高難度のジャンプを跳びたい。だが、全ての構成要素が試されるのがフィギュアスケートだ。この「Origin」に4回転アクセルを組み込むことが究極の目標となるが、その高難度ジャンプだけが演技で浮いてしまうことは本意でない。総合力の1つとしての高難度ジャンプ。他の要素の完成度が高まったことで、4回転アクセルやルッツ挑戦へのスタートラインに立った。

 王者復活を満天下に知らしめた羽生は、エキシビションで原点回帰ともいえるソチ五輪のSP「パリの散歩道」を舞った。「今、壁が見えている。その壁を乗り越えたら、もっといい景色が見えるんじゃないかな」。頂のその先へ――。ステップ、スピン、表現力、そして、ジャンプ。その全てを凝縮させた総合美を、これからも追求していく。


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