MGC実現の舞台裏 日本マラソン界が抱いた「東京五輪でメダルゼロ」の危機感 (2/3) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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MGC実現の舞台裏 日本マラソン界が抱いた「東京五輪でメダルゼロ」の危機感

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河野匡(かわの・ただす)さん/1960年徳島県生まれ。日本陸上競技連盟長距離・マラソンディレクター。選手としても高校・大学と長距離障害種目で全日本制覇、3000m障害でアジア大会優勝など活躍。現在は大塚製薬陸上競技部部長、女子部監督も務める(撮影/写真・小山幸佑)

河野匡(かわの・ただす)さん/1960年徳島県生まれ。日本陸上競技連盟長距離・マラソンディレクター。選手としても高校・大学と長距離障害種目で全日本制覇、3000m障害でアジア大会優勝など活躍。現在は大塚製薬陸上競技部部長、女子部監督も務める(撮影/写真・小山幸佑)

早野忠昭(はやの・ただあき)さん/1958年長崎県生まれ。東京マラソン財団事業担当局長、東京マラソンレースディレクター。自身も陸上選手で、高校では800mでインターハイ優勝も。東京マラソンには1回目から携わってきた(撮影/写真・小山幸佑)

早野忠昭(はやの・ただあき)さん/1958年長崎県生まれ。東京マラソン財団事業担当局長、東京マラソンレースディレクター。自身も陸上選手で、高校では800mでインターハイ優勝も。東京マラソンには1回目から携わってきた(撮影/写真・小山幸佑)

EKIDEN NEWS・西本武司(にしもと・たけし)さん/駅伝を深く愛し、どこよりも細かく追う「EKIDEN NEWS」主宰。「オトナのタイムトライアル」など新しいレースの創設も。本業はコミュニティーFM「渋谷のラジオ」制作部長(撮影/写真・小山幸佑)

EKIDEN NEWS・西本武司(にしもと・たけし)さん/駅伝を深く愛し、どこよりも細かく追う「EKIDEN NEWS」主宰。「オトナのタイムトライアル」など新しいレースの創設も。本業はコミュニティーFM「渋谷のラジオ」制作部長(撮影/写真・小山幸佑)

■「自分でチャレンジングにレースを進めてくれる日本人選手が欲しい」

河野:早野さんは「東京マラソンの人」というより、二つ上の大学の先輩。その中で、マラソンがこのままでは戦えなくなってしまうと意見は一致していました。「では、どういう切り口で変えていこうか」という話になると行き詰まるポイントがいくつかありました。

西本:みなさん、実業団の監督やコーチですからね。

早野:河野君も実業団の人間として言いたいことは言えなかった。僕は言いやすい立場でした。3年間も2時間10分が切れていない時期があって、選手はどこを向いて走っているのか。そこが一番気になっていました。

河野:「自分でチャレンジングにレースを進めてくれる日本人選手が欲しいな」というのはずっと言っていましたから。そういった議論の積み重ねの中で、「東京オリンピック」というキーワードが出てきた。日本国民とすれば、「メダル=円谷(幸吉)」のイメージが強い。そこを逆手にとって「過去3大会メダルが取れない状況の中で、取れると思いますか?」と、結構辛辣(しんらつ)に今のだめな点や無理な点を挙げました。そこまでいくと、さすがに選考を考え直すことになりました。
 
 そこでメダリストがどういう経過でメダルを取っているのかを調べました。最速が森下広一(もりした・こういち)の3回目でした。別府大分毎日マラソンで初マラソン、2回目の東京国際マラソンで優勝、バルセロナで銀メダル。円谷さんは4回目。1964年にすべてのマラソンを走っていて、4本目が東京オリンピックなんです。とてつもないことをやっている。その間に1万メートルも日本記録を作っているんですよ。そういった系譜があった中で、今までのやり方だと初マラソンでも代表になれるんですよね。

■"森下パターン"。強化と選考をセットにした新しい仕組み

西本:「オリンピックに連れて行きたい選手」の条件はありますか。

河野:「勝負強さ」「安定性」「オリンピックにおける緊張下でも力を出せる」。そして「日本記録を書き換えられるような選手でなければだめだ」という話が出てきました。そのときには日本記録を突破した選手に1億円の褒賞金を出す、日本実業団連合「Project EXCEED」が立ち上がっていた。そこで大会自体を強化と選考が一緒になる仕組みにできないかと考え始めたのが、MGCという新しい形でした。規定の大会を1回は走らないとMGCに出られない。MGCを勝ち取らないとオリンピックに行けない。これで最速の"森下パターン"を作れます。


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