女優の山口智子(c)朝日新聞社
女優の山口智子(c)朝日新聞社
矢部万紀子(やべまきこ)/1961年三重県生まれ、横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』
矢部万紀子(やべまきこ)/1961年三重県生まれ、横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』

 ドラマ「監察医 朝顔」(フジテレビ系)の平均視聴率が、8月19日放送の第6話(14.4%=ビデオリサーチ調べ、関東地区)で番組最高を記録したそうだ。「月9」の好調で、不調続きのフジテレビ関係者もホッとしている。そんな報道もあった。

【写真】かつての「視聴率の女王」ロングヘア時代の山口智子

 フジテレビ関係者ではないが、私も6話を見てホッとしたことがあった。それは、山口智子さん演じる興雲大学法医学教室主任・夏目茶子のこと。6話は5話から4年後で、第2部のスタート。そう予告されていた。夏目は主人公の監察医・朝顔(上野樹里)の上司だけど、1部だけかも。勝手に心配していた。

 というのも、山口さんはこの夏、NHK朝ドラ「なつぞら」にも出演していた。夏空と朝顔って小学生の夏休みの観察日記かい! とツッコミつつ、両方見ていたら、「なつぞら」の山口さん(おでん屋の女将・亜矢美)が8月15日を最後に消えてしまったのだ。

 突然だった。詳しく説明はしないが、ヒロインなつ(広瀬すず)の「仕事と子育ての両立」問題を際立たせるために消した。そう思い、ご都合主義だーと小さく憤っていた。さらに、山口さんはたまにしかドラマに出ない。「ふたつも出るなら、どちらも短期決戦か」などと深読みもしていた。

 そして注目の6話。茶子先生は東南アジアっぽいおしゃれな服を着て、激辛トムヤムクンを作り、法医学教室のメンバーに振る舞っていた。男性部下が「茶子先生、ますますパワーアップしてるな」「まるで魔女」と小声で会話していた。そう、ド派手で自由。それが茶子先生。その上、優しく強い。そんな茶子先生を、山口さんはとにかくカッコよく演じている。

 第2話の衣装がすごかった。グレーのパンツの上に、赤と白のストライプの服を着ていた。横のシマシマでなく、縦のシマシマ。それもかなり幅広のシマシマ。こんな服、山口さんしか着こなせない。そしてこんな衣装の時の山口さんは、ウキウキ演技をする。でも優しく強い側面を出す時は、ガラッと変わる。大きな目で相手をじっと見つめる。それだけで説得されてしまう。

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矢部万紀子

矢部万紀子

矢部万紀子(やべまきこ)/1961年三重県生まれ/横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』『美智子さまという奇跡』『雅子さまの笑顔』。

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