県予選初戦(対御殿場高)試合終盤の緊迫した場面をベンチから見つめるオイスカ高校の選手 (c)朝日新聞社
県予選初戦(対御殿場高)試合終盤の緊迫した場面をベンチから見つめるオイスカ高校の選手 (c)朝日新聞社

 静岡県オイスカ高野球部、永井浩二監督。

 6月に就任した高校野球ルーキー監督は、異色の経歴の持ち主だ。

「いつかは高校の監督をやりたいと思っていた。オイスカの校長とは大学監督時代から知り合いだったけど、このタイミングで誘っていただいた。これもなにかの縁だと思った」

 永井監督は広島商業、亜細亜大、社会人・NKK福山(現JFE西日本)で捕手としてプレー。ドラフト候補だったがプロ入りは叶わず、渡米しニューヨーク・メッツのブルペン捕手をつとめた。帰国後ケイ・スポーツクラブを経て現役を引退。06年12月に浜松大(現常葉大浜松)野球部監督就任し、12年秋にはリーグ優勝。約12年間つとめた大学野球界から、高校野球界へ足を踏み入れたばかりだ。

 多くの選手たちにとって大事な時期での「転職」。いろいろと思う部分もあったという。

「大学は春季リーグが始まる時で、学生には申し訳なかったと今でも思っている。オイスカの生徒、特に3年生は最後の夏で実質1カ月しか残っていない。彼らにとっては誰かもわからない奴が監督になった。監督変わってダメでしたでは納得いかないはず。後悔させないように、できることは全部やろうと思った」

ーー「令和」の時代にやりやすい環境を求めて。

 夏の県予選まで1カ月あまりしか残っていない。生徒が後悔しないよう、自分がやれるべきことをすぐさま実行した。

 高校野球には多くの伝統がある。新しいことをしようとすると、波風が立つことはよく聞く話だ。

「まったくなかった。生徒たちの変化も目に見えてわかった。学校内でも、野球部は頑張っている、という声も増えてきた。高校生は面白いもので、親や先生、監督など大人の一言ですぐに変化をみせる。そこが大学生との違いかな。大学生はどこか大人になっている部分もあるから」

「もちろん高校生には授業や人間教育も必要。でも野球をやっている間は、子供の頃同様、笑っていて欲しい。古くからあるもので良いものはもちろん大事にする。でも時代は変化している。生徒たちがやりやすい環境を作ってあげることが一番大事。嫌なことはすべて取り除いてあげる」

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