元オリックスのパンチ佐藤 (c)朝日新聞社
元オリックスのパンチ佐藤 (c)朝日新聞社

 2019年シーズンもオールスターの時期が近づき、前半戦がまもなく終了するが、懐かしいプロ野球のニュースも求める方も少なくない。こうした要望にお応えすべく、「プロ野球B級ニュース事件簿」シリーズ(日刊スポーツ出版)の著者であるライターの久保田龍雄氏に、現役時代に数々の伝説を残したプロ野球OBにまつわる“B級ニュース”を振り返ってもらった。今回は「B級ニュースのヒーロー編」だ。

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 明るいキャラクターを売りにバラエティ番組などで活躍中のパンチ佐藤だが、オリックス時代の1991年6月21日の日本ハム戦(神戸)でも、そんなイメージどおりの爆笑珍プレーを演じている。

 4対0とリードしたオリックスは5回1死から藤井康雄が右前安打。2死後、高橋智が四球を選び、一、二塁とチャンスを広げたところで、“パンチ”こと佐藤和弘(当時の登録名は本名)が打席に入った。

 3回に栄村忠広の代打として登場し、ニゴロに倒れた雪辱に燃えるパンチは、今度は津野浩から左中間を破る二塁打。二塁ベース上で「やったぜ!」とばかりに決めのポーズが飛び出したが、中継のボールが悪送球になったことに気づくと、「こんなことやってる場合じゃない」とばかりに大慌てで三塁へ。

 ところが、それたボールが三塁側ベンチに飛び込んだにもかかわらず、三塁に止まったまま。「何が起こったか、気づかなかった」。見るに見かねた永見武司三塁塁審が進塁するよう促すと、ようやく気づき、場内大爆笑のなか、手を叩きながら7点目のホームを踏んだ。

 そんなパンチがうっかりミスを挽回するスーパー好返球を見せたのは直後の6回。1死一、三塁で、大島康徳が左飛を打ち上げた。ここでパンチは、犠飛による得点を何とか阻止せんと、メジャーリーガーも顔負けのレーザービームを見せる。しかし、白井一幸の生還がわずかに速く、惜しくもセーフに……。「アウトと言ってくれれば、もっと盛り上がったのに……。下手ですね。真剣にやり過ぎてますよ」と残念がることしきりだった。

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久保田龍雄

久保田龍雄

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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