野手でも、チームリーダーの青木宣親が「何かを変えようとする上では、いい試みだと思う」といえば、主砲のバレンティンも「同じチームなんだから、一緒に練習するのはいいこと。上手くいかない時に何かを変えるのは、野球でも他のスポーツでも、ビジネスでも同じだ」と話すなど、“変化”という意味も含めてこの方針を歓迎している。

 もちろん、何かを変えれば勝てるというものでもない。8日のオリックス戦は一度は試合をひっくり返しながら、再逆転を許して4対5で惜敗。だが、翌9日のデーゲームでようやく投打が噛み合う。

「絶対勝つという気持ちでいきましょう!」

 一軍に昇格したばかりのドラフト2位の元気者ルーキー、中山翔太が試合前の円陣でナインをそう鼓舞したこの試合、ヤクルトは19歳の5番打者、村上宗隆の16号2ランと青木の2点タイムリーで6回に4点を勝ち越し、主導権を握る。近藤一樹、ハフ、マクガフ、石山泰稚の中継ぎ陣がオリックスの反撃を1点でしのぐと、8回には中山のタイムリーで2点を追加。最後は20歳の守護神、梅野雄吾が3者凡退に抑え、ついに神宮のファンに白星を届けた。

 これまでの悪い流れを変える勝利になるか──。試合後、そんな問いに小川監督は「今日の1勝を(次に)つなげられるようにしていかないといけない」と答えた。青木も「ずっとやろうとしてたことが今日はできたというか、うまくピッチャーと野手が噛み合ったんじゃないかと思います。(流れが)大きく変わってくれたらいいですけどね。それには勝ち続けるしかないから、勝ち続けていい流れにもっと持っていきたいなと思います」と前を向いた。
 
 現在は借金11でセ・リーグの最下位に沈むヤクルトだが、昨年はリーグ最下位で迎えた交流戦で最高勝率に輝いたことが大きな転機となり、最終的にはリーグ2位で3年ぶりのクライマックスシリーズ進出を果たしている。今年の交流戦はこれで2勝3敗。まだまだ課題は多いが、チーム一体となって巻き返しを狙う。(文・菊田康彦)

●プロフィール
菊田康彦
1966年生まれ。静岡県出身。大学卒業後、地方公務員、英会話講師などを経てフリーライターに転身。2004~08年『スカパーMLBライブ』、16~17年『スポナビライブMLB』出演。プロ野球は10年からヤクルトの取材を続けている。