お昼寝も含めた合計睡眠時間の推奨は、0~3カ月の子は14~17時間、4~11カ月の子は12~16時間、1~2歳は11~14時間、3~4歳は10~13時間となっています。睡眠について書かれているのは、睡眠不足も肥満のリスクになることがわかっているからです。

 テレビやスマホをみせる時間にも言及していますが、今回のガイドラインの趣旨は、子どもの精神発達や問題行動などへの影響を減らすこととは少し違うようです。体を動かして活動する時間を確保するために、じっと見ているだけになりがちなスクリーンを見る時間を減らすようにと書かれています。

 このガイドラインを守るのは、結構ハードルが高いなというのが私の感想です。実はこのWHOのガイドラインはオーストラリアのガイドラインとほぼ同じ内容なのですが、オーストラリアでどのくらいの子がガイドラインを守れているか、調べた研究があります。

 例えば1~2歳の子ども202人について調べたところ、96.5%の子は運動については守れていましたが、睡眠については79.9%、座っている時間については11.4%の子しか守れていませんでした。有意な差ではなかったものの、2つ以上の項目についてガイドラインを守れている子は、そうでない子に比べてBMIが低い傾向にありました。

 0歳児は455人を対象に調査したところ、うつぶせ練習時間を30分以上とれているのは29.7%、ベビーカーなどに乗っている時間が守れているのは56.9%、スクリーンを見る時間は27.9%、睡眠時間は58.7%で、全ての項目を守れているのはたったの3.5%でした。ガイドラインを守れている子とそうでない子で、赤ちゃんのBMIや気質のおだやかさに明らかな差はありませんでした。

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