森田麻里子(もりた・まりこ)/1987年生まれ。東京都出身。医師。2012年東京大学医学部医学科卒業。12年亀田総合病院にて初期研修を経て14年仙台厚生病院麻酔科。16年南相馬市立総合病院麻酔科に勤務。17年3月に第一子を出産。小児睡眠コンサルタント。Child Health Laboratory代表
森田麻里子(もりた・まりこ)/1987年生まれ。東京都出身。医師。2012年東京大学医学部医学科卒業。12年亀田総合病院にて初期研修を経て14年仙台厚生病院麻酔科。16年南相馬市立総合病院麻酔科に勤務。17年3月に第一子を出産。小児睡眠コンサルタント。Child Health Laboratory代表
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(写真はイメージ/Gettyimages)
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 日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、2人の女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は、自身も1児の母である森田麻里子医師が、「赤ちゃんの運動や睡眠」について「医見」します。

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「ベビーカーに連続で乗せている時間は1時間まで」、そんなガイドラインが、世界保健機関(WHO)から先月末に出されました。

 運動は、病気を防ぎ、健康に過ごすために大切な要素です。世界中で、毎年500万人もの人が、生活習慣がもとになった病気で亡くなっているという推計があります。世界中の人が運動不足を解消すれば、狭心症や心筋梗塞などといった冠動脈疾患の6%、2型糖尿病の7%、乳がん大腸がんの10%はなくすことができるというのです。

 運動不足というと大人だけの話と思われるかもしれません。しかし、運動不足は子どもであっても体に悪影響を及ぼします。実際に心筋梗塞などの病気を起こすのは大人がほとんどですが、そのリスクとなる高血圧や肥満は子どもの頃からすでに始まっているのです。例えばアメリカ疾病予防管理センターがまとめた調査では、2013年~2016年のデータで12~19歳の21.8%が肥満、4%が高血圧であり、血圧がやや高めの子も含めると、7人に1人が高血圧の傾向があるという結果になりました。アメリカと比べてそれほど多くはないものの、日本でもおよそ20人に1人の子どもは肥満です。小さい頃から運動習慣を身につけさせてあげることはとても重要です。

 WHOが今回発表したガイドラインは、乳幼児の活動と睡眠についてのものです。座って静かに活動する時間、特にスマホやタブレットをじっと見ているだけの時間を減らし、運動と睡眠を増やしましょうという内容になっています。

 例えば運動については、次のように示されています。0歳なら、ズリバイやハイハイなど、できるだけ長い時間床で遊ぶこと。まだ動けない赤ちゃんは、1日の合計で30分以上、うつぶせ練習をすること。1~2歳の子は、1日3時間以上、多少なりとも体を動かす遊びをすること。できれば、体温が上がって少し息が切れるくらいのやや激しい運動、例えば早歩きやダンス、二輪・三輪車などもする。3~4歳:1日3時間以上の遊びと、1時間以上のやや激しい運動をすること。

 座っている時間については、次の通りです。ベビーカーやハイアンドローチェア、抱っこひもなどに1時間以上連続で乗せておかない。長時間座っていることも避ける。1歳までの子にテレビやスマホ、タブレット等のスクリーンをみせるのは推奨されない。2歳以上ならスクリーンを見る時間は1時間以内にするが、時間は少なければ少ないほど良い。座っている時間は、大人と一緒に絵本を読むのが推奨される。

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睡眠不足は肥満のリスクアップ