この結果を見ても、特に0歳の赤ちゃんについては、ガイドラインを守るのは困難な場合も多いことがわかります。うつぶせにした瞬間に泣きだす子もいるし、抱っこしていないとすぐ泣いてしまう子もいます。抱っこひもに1時間以上乗せないというのは、ガイドラインの性質上は睡眠時間を除いて考えてよいと思いますが、起きている間だけとしても、泣いている赤ちゃんをずっと床に置いておくわけにもいきません。ガイドラインの時間の数字は、はっきりとした根拠があるというよりは、複数の専門家の意見を総合して決められているようです。守らないと大変なことになるというわけではないので、一つの目標と考えてできる範囲で生活に取り入れていけたらよいのではないかと思います。

 とはいえ、適度な運動や睡眠は、肥満であるかどうかに関わらず大切なものです。例えば、日本では「うつぶせ練習をしなさい」と強く勧められることはそれほどないかもしれませんが、アメリカやオーストラリアなど、海外では新生児からうつぶせ練習を勧めるところもあるようです。意識して、ご家庭で取り入れてみると良いかもしれません。また、日本は子どもも睡眠時間が短い傾向にあります。お子さんの年齢に合った十分な睡眠時間を確保できているか、チェックしていただけたらと思います。

 運動や睡眠を改善することで、肥満やそれに伴う生活習慣病を防ぎ、心の健康を保つことができます。小さい頃から運動習慣や良い睡眠習慣を身につけさせてあげることは、大人になっても役立つ一生の財産と言えるでしょう。

○森田麻里子(もりた・まりこ)/1987年生まれ。東京都出身。医師。2012年東京大学医学部医学科卒業。12年亀田総合病院にて初期研修を経て14年仙台厚生病院麻酔科。16年南相馬市立総合病院麻酔科に勤務。17年3月に第一子を出産。小児睡眠コンサルタント。Child Health Laboratory代表

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森田麻里子

森田麻里子

森田麻里子(もりた・まりこ)/1987年生まれ。東京都出身。医師。2012年東京大学医学部医学科卒業。12年亀田総合病院にて初期研修を経て14年仙台厚生病院麻酔科。16年南相馬市立総合病院麻酔科に勤務。17年3月に第一子を出産し、19年9月より昭和大学病院附属東病院睡眠医療センターにて非常勤勤務。小児睡眠コンサルタント。Child Health Laboratory代表

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