21世紀枠で出場した岩本大地(石岡一)も初戦で敗れたものの、強打の盛岡大付を相手に延長11回、3失点と好投を見せて評価を上げた。上背はそれほどないが、強靭な下半身を生かしたバランスの良いフォームでコンスタントに140キロ台をマークするストレートは威力十分。大学や社会人でピッチングの緻密さを身につけることができれば、将来十分プロを狙える素材と言えるだろう。大会前にノーマークだったものの、今大会で大きな存在感を示したのが大畑蓮(明豊)だ。背番号は10ながら全4試合にリリーフで登板し、チームのベスト4進出に大きく貢献。悪い癖のない流れのスムーズなフォームが特徴で、高い位置から投げ下ろすボールの角度も光る。準決勝の習志野戦では最速146キロをマークしたようにスピードも申し分ない。184センチ、73キロという細身の体が順調に大きくなれば、150キロを超えてくることも十分に期待できるだろう。

 野手では決勝戦で2本塁打を放つ活躍を見せた石川昂弥(東邦)の評価が高いが、同じチームの田任洋(東邦)の存在も光った。まず素晴らしいのがそのフィールディング。打球に対する反応と一歩目のスタートが他の選手とはワンランク違い、プレーのスピード感は大学生や社会人の選手を見ているようだった。バッティングも広角に打ち分ける技術があり、1回戦こそノーヒットだったものの2回戦と準々決勝では2試合連続で3安打を放つなど大会を通じて4割を超える高打率を残している。決勝戦で石川が爆発したのも、後ろを打つ熊田の存在が影響していたことは間違いないだろう。同じショートでは森敬斗(桐蔭学園)の力強い攻守も目立った。体つきは少し頼りないものの、ヘッドの走りは抜群で、そのプレースタイルは高校の先輩である茂木栄五郎(楽天)を彷彿とさせる。大舞台でも3安打を放ち存在感を示した。茂木のようにプレーのスピードを残したまま更なるパワーアップを目指してもらいたい。

 スラッガータイプの選手で光ったのは井上広大(履正社)だ。初戦で奥川の前に4打数ノーヒット2三振、1併殺打と完璧に抑え込まれたものの、それでも打席での雰囲気や力強いスイングは迫力十分だった。187cm、95kgという高校生離れした体格がまず目立ち、それでいながら力任せにならないところがいい。守備でもライトからサードへ見事な返球を見せて補殺も記録している。夏に向けて柔らかさと確実性がアップしてくれば、高校から直接プロ入りも十分狙える素材と言えるだろう。

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2年生で要注目なのは?