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その手洗いで本当に大丈夫!? 抗菌の薬用石けんと「耐性菌」リスクの関係性

連載「ちょっとだけ医見手帖(森田麻里子医師)」

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森田麻里子dot.#ライフ
抗菌石けんを使うことではなく、石けんで手洗いする回数を増やすことが大切(写真:getty images)

抗菌石けんを使うことではなく、石けんで手洗いする回数を増やすことが大切(写真:getty images)

森田麻里子(もりた・まりこ)/1987年生まれ。東京都出身。医師。2012年東京大学医学部医学科卒業。12年亀田総合病院にて初期研修を経て14年仙台厚生病院麻酔科。16年南相馬市立総合病院麻酔科に勤務。17年3月に第一子を出産。小児睡眠コンサルタント。Child Health Laboratory代表

森田麻里子(もりた・まりこ)/1987年生まれ。東京都出身。医師。2012年東京大学医学部医学科卒業。12年亀田総合病院にて初期研修を経て14年仙台厚生病院麻酔科。16年南相馬市立総合病院麻酔科に勤務。17年3月に第一子を出産。小児睡眠コンサルタント。Child Health Laboratory代表

 石けんの手洗いをより効果的にするためには、しっかり時間をかけて手洗いすることも必要です。手洗いにかける時間は、アメリカやカナダをはじめとして、20秒以上としているガイドラインが多いようです。アメリカの石けんメーカーが2008年に行った研究では、手洗い時間15秒と30秒で、手についた細菌をどれだけ減らせるか調べています。その結果、殺菌成分が配合された抗菌石けんだと15秒より30秒の方が細菌が減る傾向にありましたが、普通の石けんだと抗菌石けんよりは菌が残ってしまい、手洗い時間を伸ばしても菌量は変わらないことがわかりました。石けんメーカーの研究なので利益相反がありますが、同じ論文で、使う石けんの量が多いほど菌量が減るという実験結果も出ています。

 この結果をみると、石けんは殺菌成分が含まれたものが良いのではないかと思えます。しかし、抗菌石けんを使った方が普通の石けんよりも病気が減るかということについては、実は証明されていません。

■抗菌石けん使用で、薬が効かない耐性菌を生むリスク

 2004年にアメリカのコロンビア大学から発表された研究では、238の一般の家庭を2グループに分け、一方には殺菌成分入りのハンドソープや衣類用洗剤を使ってもらい、もう一方には殺菌成分の入っていないものを使ってもらいました。48週間に渡って、それぞれの家庭で咳や鼻水、喉の痛み、発熱、嘔吐、下痢などの感染症の症状があるかどうか追跡したところ、どちらのグループでも、症状の発生率に差はなかったのです。

 これはよく考えると当たり前かもしれません。というのも、食中毒は確かに細菌が原因になりますが、風邪や胃腸炎などはほとんどウイルスが原因です。殺菌成分はウイルスに対する効果が不十分なことも多く、物理的に洗い落とすことが大切です。抗菌薬の使いすぎは薬が効かない耐性菌を生むリスクがありますが、石けんの殺菌成分も同じです。効果が無いのに耐性菌を生むリスクがあるならば、使わないほうが良いということになります。


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