錦織圭、満身創痍で戻った“居場所”  ファイナルズ出場は奇跡に近かった【内田暁】 (2/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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錦織圭、満身創痍で戻った“居場所”  ファイナルズ出場は奇跡に近かった【内田暁】

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有言実行でファイナルズ出場を果たした錦織圭(写真:getty Images)

有言実行でファイナルズ出場を果たした錦織圭(写真:getty Images)

 またこの大会での錦織は、崩れたサーブを最後まで立て直すことが出来なかった。ファーストサーブの確率は、ティーム戦で59%、フェデラー戦は53%、アンダーソン戦では45%。プレーの起点であるサーブが乱れると、その後のストロークのリズムや、ポイント展開など全てのプレーに影響が及ぶ。特に錦織のように、ラリー戦で律動を築きたい選手にとり、ファーストサーブが入らず、セカンドサーブを叩かれ早々にポイントを失うのは致命傷になりかねない。錦織も、「サーブが入らずフリーポイントが取れなかったので、自分に自然とプレッシャーを掛けていた。悪くなった原因の一番最初に来たのが、たぶんサーブ」と、サーブの不調が最初の歯車の食い違いとなり、プレー全体に波及したことに言及した。

「今週は、めちゃめちゃ葛藤の一週間だった」 

 2年ぶり4度目の出場となったツアーファイナルズでの戦いを、錦織はそう振り返る。ただ、大きなポイント源であるグランドスラム1大会(全豪オープン)を欠場し、1月末の復帰後もしばらくは手首の痛みや不安を抱えながらの戦いだったことを思えば、ファイナルズに出られたことが「ほぼ奇跡」であり、「われながら評価できる」のも当然だ。また、これまで4年半にわたり6連敗を喫していたフェデラーを破ったことも、貴重な財産になっただろう。

 両者ともベストには程遠かったとはいえ、錦織いわく「自分がベストでなくても、勝てたのは大きなこと」であり、「彼(フェデラー)がベストの時でも、使える戦術だったり、しっくりきたところはいくつかあった」と、今後につながるヒントを持ち帰った。同時に、再びここから上を目指すうえで、この勝利で獲得した200のランキングポイントも、決して小さくない意味を持つはずだ。

 来シーズンの錦織は、ベテラン勢の意地に同世代の向上心、さらには新時代を築かんとする若手の野心が入り交じる、群雄割拠の戦いの渦へと身を投じる。

 世界の9位--それは昨年8月、手首のケガにより戦線離脱した時と、同じ地点を指す“強さの指標”である。(文・内田暁)


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