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大河「毛利元就」脚本家の内館牧子が語る中村芝翫の所作の美しさ

連載「大河ドラマ誕生55周年の秘話」

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植草信和dot.#歴史
脚本家の内館牧子さん(撮影/富本真之)

脚本家の内館牧子さん(撮影/富本真之)

 主人公の毛利元就を演じたのが、当時32歳だった歌舞伎界のホープ三代目中村橋之助(現:八代目中村芝翫)。9年前の「武田信玄」で徳川家康役を演じて既に大河ドラマ出演経験もあった橋之助は、若き日の純粋な元就から謀略の鬼と呼ばれた晩年までの元就を、説得力溢れる演技で体現した。

「橋之助さん、よかったですね。ただの陰謀家というだけなら他の方でもよかったのでしょうが、元就は妻と仲が良くて子育ても熱心という家庭人でもあったので、橋之助さんでなければ演じられなかったでしょうね。収録の様子を見たら所作がきれいだったです。16世紀も今も男と女はそれほど変わっていないと思うので、元就たちに現代の男女をダブらせて書いていた記憶があります」

 謀略王としての凄味と愚痴っぽい家庭人としての一面をあわせ持った元就。内館脚本は、現存している彼の書状の特徴を上手く人物描写に取り入れている。手紙から考察する元就の人間像とは……。

「幼くして両親を亡くし、家臣からも疎まれて育ったので人には気を許さない、疑心暗鬼の人だと思います。だから彼の書状は念を押すように繰り返す内容のものが多いんです。それと戦国武将としはグチが多くて、よくぼやいたというところが面白いと思いましたね」

“謀略王”と“ボヤキ家庭人”という真逆のふたつの顔をもつ人間として元就を捉えた内館流“戦国ホームドラマ”は、女性層の厚い支持を得て最高で28.5%、平均23.4%という高い視聴率を記録した。

 公益社団法人中国地方総合研究センターは、「親子愛や夫婦愛をテーマに、武将“毛利元就”の親しみやすさ、人間性を全面に出した脚色が視聴者を大いに惹きつけた」と「大河ドラマ『毛利元就』の地域に及ぼす効果に関する調査報告書」に記載している。(植草信和)


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植草信和

植草信和(うえくさ・のぶかず)/1949年、千葉県市川市生まれ。キネマ旬報社に入社し、1991年に同誌編集長。退社後2006年、映画製作・配給会社「太秦株式会社」設立。現在は非常勤顧問。

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