向井理には「男らしくない男」が似合うわけ

あの人ってば。

矢部万紀子

2018/07/23 11:30

矢部万紀子(やべまきこ)1961年三重県生まれ、横浜育ち。コラムニスト。1983年に朝日新聞社に入社。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』
矢部万紀子(やべまきこ)1961年三重県生まれ、横浜育ち。コラムニスト。1983年に朝日新聞社に入社。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』
向井理さん (c)朝日新聞社
向井理さん (c)朝日新聞社

 向井理主演の時代劇「そろばん侍 風の市兵衛」(NHK)で泣いた。向井のドラマで泣いたのは「ゲゲゲの女房」(NHK)以来だから、8年ぶりだった。

【俳優・向井理さんの写真はこちら】

 朝ドラが好きで、本欄でも「朝ドラベスト5」を書いた。2010年放送の「ゲゲゲの女房」は、水木しげる役の向井がハンサムな上に優しくユーモラスで大好きだった。水木という実在の漫画家のよさを向井が飄々と演じていたわけで、「こんな夫がいたらなあ」と夢中で見た。

 なので「ゲゲゲの女房」終了後に向井が主役を演じた最初のドラマ「ハングリー」(2012年)を期待して見たのだが、元ロッカーにして料理人という役もストーリーもピンと来ないままに途中で脱落、以後、民放ドラマに出る向井をチェックしては軽くガッカリすることの繰り返しで、直近ではDV男を演じるに至り(「きみが心に棲みついた」)、きゃー、もうやめてー、という心境だった。

 というわけで苦節8年。来ました、はまり役。

「そろばん侍 風の市兵衛」の唐木市兵衛は、口入屋で職を探しては働いている。目付の家の生まれだが、家を出て大阪の商家で修行をしたので、帳簿が読めて商売指南ができる。今でいうならフリーの「経営コンサルタント」。しかも剣の達人。雇われ先で遭遇した悪と闘い、問題を解決し去っていく。

 とまあ、こう書いただけでカッチョいい役だし、向井は侍姿がとても似合うからますますなのだが、だがしかしバット、はまり役なのは、カッチョよさにだけあるのではなーい。

 このほどわかったのだが、向井は「男らしい男」でない方が似合う。「ゲゲゲの女房」発で向井に注目した女子であれば、わかっていただけるはず。「男らしくない男」すなわち「マッチョでない男」を演じると、彼はハマる。

 故・水木しげるは、自伝エッセイに『ねぼけ人生』(ちくま文庫)、米寿記念に出した作品集に『屁のような人生』(KADOKAWA)と名付ける人だ。「男らしい」と対極なことは一目瞭然だろう。

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