故障者リスト入りした大谷翔平は二刀流を続けることができるのか (c)朝日新聞社
故障者リスト入りした大谷翔平は二刀流を続けることができるのか (c)朝日新聞社

 野球評論家の江本孟紀氏が発してきた警告が、早くも現実になってしまった。米大リーグのエンゼルスに所属する大谷翔平(23)は8日(日本時間9日)、右肘の内側側副靱帯の損傷のため故障者リスト(DL)入りした。約3週間後に再検査を受け、手術の可能性も含めて今後の方針を決める。

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 投打二刀流については、かねてから賛否両論が噴出していた。だが、大谷が鮮烈なメジャーデビューに成功したことで、反対派は沈黙。日本中が大谷の活躍に熱狂するなかで「二刀流は成功した」と思われていた。

 そのなかでも野球評論家の江本孟紀氏は、二刀流に対する警告を発し続けていた。4月9日に掲載された江本氏のインタビュー記事『大谷2連勝、3戦連発でも二刀流が成功しない理由』に対しては、「若者の夢をつぶすな」「お前が言うな」などの意見が多数寄せられた。

 だが、江本氏が二刀流で最も心配していたのは「ケガのリスク」で、野球を知る人ほど江本氏の意見に近いのもたしかだ。日本ハム時代も大谷はたびたびケガに悩まされ、MVPを受賞した2016年でも規定投球回や規定打席数に達していない。結果的に、残念ながら江本氏の警告は現実となってしまった。

 今回の右肘損傷の程度は、3段階のうち「グレード2」。日本ハム時代の昨年10月にも「PRP(多血小板血しょう)注射」による治療を受けているが、その時は最も軽度の「グレード1」だった。昨年より損傷が進行していることは確実で、開幕からわずか2カ月での戦線離脱について江本氏は「想像していたより早かった」と話す。

 江本氏にあらためて「二刀流が成功しない理由」を聞いた。

* * *

──二刀流で結果を出してきた大谷が、故障者入りをしました。

 想像していたより早かったというのが、率直な印象です。大谷は明らかに調整不足。体のケアも練習も十分でないので、ケガのリスクが高いことを最初から心配していた。ただ、これは私だけの意見ではありません。プロ野球を経験した人なら、だいたいわかっていたことです

 投手か打者の一つをやっても、故障をせずにシーズンを過ごすことは大変。だから、それを防ぐために十分なトレーニングをやる。それを2つやると、どちらも時間がいる。それでも大谷がこれまで成績が残せていたのは、飛び抜けた才能があるから。しかし、それを長く続けることができるかというと、プロの世界はそうはいかない。

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