──大谷は身長193センチで、165キロの速球を投げます。体の負担が大きいのでしょうか。

 体の大小は関係ありません。体の小さい選手でもケガをする。ケガを避けるためには、自分の体と向き合い、その結果生まれてきた経験則を大切にしなければならない。

 たとえば、今の投手は投げ終わった後に何でもかんでも肩や肘をアイシングしますよね。それは本当に正しいのでしょうか。医学ではそれが定説とされ、みんなアイシングしていますが、過去に比べて肘を痛める選手は増えている。

 であるなら、それも疑って調整しなければならない。定説であっても、時代が変われば間違っていたというのはよくあること。過去の選手はむしろ、冷やすことよりマッサージや体全体をほぐしていた。そのどちらが正しいのか。これは最後は選手が自らの経験則から判断しなければならない。

 二刀流を続けていると、投打ともに練習不足やケガがおきやすい。リスクが高まるのです。

──エンゼルスは日本ハム時代の起用法を踏襲し、メジャーでは異例の中6日登板とDHで起用してきました。

 日本ハム時代、二刀流が成功した年はなかった。17年のシーズンで大谷の登板数は5で、3勝2敗。シーズン中のほとんどは足のケガの治療をしていて、打者としても65試合しか出場していません。

 今季についていえば、復帰は早くて7月以降でしょう。そもそも、これまでも指のマメや足のケガで、中6日のローテーションも守れていなかった。プロ野球選手は、1シーズンを通じて活躍できてはじめて1人前なのに、日米で失敗している。二刀流が去年同様うまくいかなくなっているのは、すでにDL入りしていることによって証明されたと言っていいのではないか。

──今後、二刀流はどうなるのでしょうか。

 最後は本人が決めることだし、我々がどちらかにせよと言う権利はありません。いずれ、どちらかにせざるをえない時期が来るでしょう。

 復帰しても、次に大きなケガをすれば選手生命に関わり、並の成績の選手で終わってしまう。このことは、大谷の野球人生にとっても、球界の未来にとっても大きな損失です。無責任に二刀流をあおり立てることは、ほどほどにしたらどうでしょうか。

(聞き手/AERA dot.編集部・西岡千史)