忘れてはならないのが横浜(南神奈川)だ。春の神奈川県大会では7試合で68得点、2失点という圧倒的な強さで優勝。旧チームからレギュラーの斉藤大輝(3年・二塁手)、長南有航(3年・外野手)、小泉龍之介(2年・外野手)など上位打線は力のある打者が並び、エースの板川佳矢(3年)もスピードはないものの安定感がアップした。そして昨年夏の甲子園も経験した本格派サウスポー及川雅貴(2年)が本で行われた招待試合で最速150キロをマークするなど急成長を遂げていることも大きい。攻守とも粗さはあるものの、個々の能力の高さはさすがである。同じ関東ではもう一校、健大高崎(群馬)を取り上げたい。甲子園でもすっかりおなじみとなった“機動破壊”は今年のチームでも健在どころか、磨きがかかったように見える。単純に盗塁が多いだけでなく、常に相手の隙をうかがい、果敢に走ってチャンスを広げる攻撃は見事という他ない。

 さらに、今年はプロ注目のスラッガー山下航汰(3年・外野手)と昨年から中軸を任せられている高山遼太郎(3年・三塁手)の二人の長打が期待できる選手がいることも強みだ。下級生が中心の投手陣も発展途上ではあるが素材の良い選手が揃っており、甲子園でも勝ち抜けるだけの戦力もある。複数の力のある投手を抱える浦和学院(南埼玉)、中軸に大型打者が揃う常総学院(茨城)、昨年夏の甲子園を経験したメンバーが多く残る木更津総合(東千葉)、毎年夏にはしっかりチームを仕上げてくる作新学院(栃木)なども面白い存在だ。

 西日本では春の九州大会を制した九州国際大付(北福岡)の総合力が高い。この冬で2年生右腕の下村海翔が急成長。体はそれほど大きくないが、140キロ前後のストレートは力があり、コーナーを突く制球力も見事。長身右腕の山本有希也(3年)との2本柱が確立したことが大きい。打線も強打の1番打者である中村貴浩(3年・二塁手)など力のある打者が揃い、九州大会の決勝では12安打、13得点の猛攻を見せた。投打のバランスの良さは全国レベルだ。

 東海地区で面白いのが中京学院大中京(岐阜)だ。秋は東海大会ベスト4に入り、選抜はギリギリで落選したものの、春も安定した戦いぶりで県大会を制した。強肩捕手の藤田健斗(2年)、スピード溢れる守備が光る西尾歩真(3年・遊撃手)を中心としたセンターラインの守備が持ち味で、2年生サウスポーの不後祐将もまとまりがある。打力が向上すれば、全国でも戦える力は持っている。投手力が突出しているのが菰野(三重)だ。最速150キロを誇る田中法彦(3年)、昨年夏のマウンドも経験している岡林勇希(2年)など複数の本格派投手を揃えている。春は県大会の準決勝でタイブレークの末に敗れたが、その投手陣は相手チームにとっては脅威となるだろう。

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大阪桐蔭の同地区ライバルも戦力充実