春季関東地区高校野球大会。横浜―明秀日立 九回表横浜1死三塁、逆転の中越え2点本塁打を放った横浜・内海 (c)朝日新聞社 
春季関東地区高校野球大会。横浜―明秀日立 九回表横浜1死三塁、逆転の中越え2点本塁打を放った横浜・内海 (c)朝日新聞社 

 今年で100回の記念大会を迎える全国高校野球選手権。2年連続で選抜高校野球を制した大阪桐蔭(大阪)が絶対的な本命と見られているが、いくらタレント揃いのチームと言えども春夏連覇は容易なことではない。また、過去5年間の優勝校を見てみると、前橋育英(群馬)、大阪桐蔭、東海大相模(神奈川)、作新学院(栃木)、花咲徳栄(埼玉)といずれもその年の選抜出場を逃したチームが並んでいる。

 昨年に至っては、ベスト4に勝ち残った花咲徳栄、広陵(広島)、東海大菅生(西東京)、天理(奈良)の4校全てが選抜不出場校である。今年も冬から春にかけて力をつけたチームが一気に頂点まで上り詰める可能性は十分に考えられる。今回はその候補となりそうな高校について有力校の多い関東と地区大会が終わった地域を中心に紹介したい。

 まず、触れなくてはならないのはやはり昨年の優勝校である花咲徳栄(北埼玉)だろう。激戦区の埼玉にありながら、夏の甲子園は3年連続で出場しており、優勝を逃した年も3年前は東海大相模、一昨年は作新学院といずれもその年の優勝校と接戦を演じるなど、安定した戦いぶりを見せている。また、この期間に愛斗(西武)、高橋昂也(広島)、岡崎大輔(オリックス)、西川愛也(西武)、清水達也(中日)と5人ものプロ野球選手を輩出し、勝ちながら選手も育てるという意味では大阪桐蔭に次ぐ存在とも言えるだろう。

 今年も高校球界屈指のスラッガーである野村佑希(3年・三塁手兼外野手)を擁しており、4年連続のドラフト指名の可能性は高い。そしてチームの特徴は強力打線だ。春の埼玉県大会では5試合で60点をマークし、関東大会でも2回戦で敗れたものの2試合で21点を叩き出し、選抜ベスト4の東海大相模を相手にも一歩も譲らぬ戦いぶりを見せている。野村以外にも強打の遊撃手である韮澤雄也(2年)、入学早々スタメンを勝ち取り関東大会でも一発を放った井上朋也(1年・外野手)など下級生に楽しみな存在が多い。不安定な投手陣の整備は課題だが、攻撃力は全国でも上位と言えるだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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