血管力の低下は肩こりや冷えなどを引き起こす原因に(※写真はイメージ)
血管力の低下は肩こりや冷えなどを引き起こす原因に(※写真はイメージ)

 中医学では血管・血液・血流の総合力を「血管力」と捉えます。血管力が落ちると、肩こりや冷え、もの忘れ、イライラ、シミなどさまざまな症状を引き起こすとも言われています。また、毛細血管がまるで幽霊のように消えてしまう「ゴースト血管」化してしまうことも。週刊朝日ムック『気と血のめぐり 本格漢方2018』では、血管力について中医学講師に取材。血管力低下の原因や養生法を紹介します。

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 血管は、栄養や酸素を血流に乗せてからだじゅうに送り届け、その一方でいらなくなった炭酸ガスや老廃物を運び出す役割を果たしています。からだには太い血管だけでなく足の先にいたるまで細かい血管がびっしり張り巡らされ、その全長はおよそ10万キロ。なんと地球を2周半できる長さです。中医学講師の陳志清先生はこう話します。

「中医学における『血管力』は、血管の状態だけではなく、血液の量と質、流れる力も重視します。血管力を高め、血をスムーズに巡らせることは、生命を維持し、心身の健康を保つ基本といえるでしょう」

 血管は長年使っているうちに老化するだけでなく、好ましくない生活習慣などによって劣化していきます。弾力がなく内側に汚れのたまった血管では血液をからだのすみずみにまで巡らせることができません。

 一方、血液の量が足りなかったり、脂質や糖分でドロドロの状態という場合も、流れは滞ります。ドロドロが血管の内側にくっついてどんどん厚くなるとさらに血流は悪化し、堆積した汚れで血管もさびついていく、という悪循環に陥るのです。さらに血液は重力に逆らって、足先から心臓方向にも運ばれる必要があります。

「血液を押し出すのは心臓のポンプですが、中医学では『気』という目に見えないエネルギーがポンプの役割を果たし、血液を引っ張って動かしていると考えます。血管力には心の健康も深くかかわっているのです」(陳先生)

■毛細血管が干上がり、ゴースト血管化

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