「中医学では血管力が低下し、血の巡りが悪くなっている状態を『お血(おけつ)』と呼びます」(陳先生)

 お血症状の一つが、血液不足による貧血です。各組織に十分な酸素が運ばれないので、息切れやだるさ、疲れも出やすいもの。くすみや目の下のクマなど肌トラブルにも直結します。血液の循環が悪いのでからだは冷え、特に血流が届きにくい手先や足先が冷たくなる人が少なくありません。血流の滞りを、頭痛や生理痛、腰痛、関節痛といった「痛み」として感じる場合もあります。

 また検査で脂質異常症や高血圧、糖尿病を指摘された人はドロドロお血の可能性も。「お血を放置すれば心臓の血管が詰まるなど命にかかわる病気を発症する危険もあります」と陳先生。一方、血液を動かす気が不足してお血に陥っている人は、イライラしたりストレスがたまりやすくなります。

 血液は太い部分に優先して流れます。血液の量やそれを動かす気の力が不足すると、末端の毛細血管まで血液が届きません。その状態が続けば、毛細血管は干上がり、「ゴースト血管」化して消えてしまいます。たとえば、健康な爪はピンク色でつややか。血色が悪く枯葉色だったり縦筋が入っていたり爪先がもろい人は、毛細血管がゴースト化している可能性があります。

■血管力をアップする養生法

 入浴や食事など、適切なケアで血管力を高め、ゴースト血管を再生させましょう。

○入浴
 入浴は、血管を開いて血行を改善させます。ただし湯温が熱すぎたり長時間つかったりすると逆に血管を傷めてしまうので、40度で10分までを目安に。ゆっくり入浴したいときは、ぬるめのお湯で半身浴をしましょう。また脱衣所と風呂場の温度差は、血管を過度に収縮させて負担をかけるので注意してください。

○睡眠
 一日じゅう大量の血液を流して傷んだ血管は、睡眠中に修復されます。眠っている間に細胞の修復を促す成長ホルモンが分泌され、血管だけでなく全身状態を回復させることができるのです。睡眠時間が短かったり熟睡できていなかったりすると、修復は不完全なまま。細切れではなく、まとまった睡眠をとることが大事です。

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