トッティやデルピエロと共にイタリア代表としてワールドカップを制したメンバーであり、現役時代にプレーしたACミランで監督を務めるジェンナーロ・ガットゥーゾもまた熱心なファンだ。“闘犬”の愛称を現役時代に持ったファイターが好きなキャラクターは「石崎(了)だ。あのガッツが好きなんだ」というもの。小学校時代から翼くんと同じチームでプレーし、相手のシュートを顔面でブロックするのも厭わないファイターを好むのは“いかにも”というところだろうか。

 一方で、ミランやイタリア代表で中盤のプレーメーカーとして君臨していたアンドレア・ピルロは「三杉(淳)くんが好きなんだ」と、心臓病と戦いながらプレーした“貴公子”の名前を挙げている。そして「三杉くんを見て、オフサイドトラップを学んだんだよ」と、翼くんたちを苦戦させた戦術に感銘を受けたのだという。

 作中で成長した翼くんは、スペインの名門バルセロナに入団することになる。現在のバルセロナのエースであるリオネル・メッシは移籍決定時に「翼くんと同じチームに行ける」という理由で大喜びしたとされる。その時、ライバルチームであるレアル・マドリードの幹部は「なぜレアルに入団させてくれないんだ」とこぼしたという逸話がある。つまり、スペインでも翼くんの影響力は大きいということだ。

 そのバルセロナで下部組織から育った選手の代表格であるアンドレス・イニエスタは「キャプテン翼は思い出の作品」とした上で「一番好きなのは翼だけど、日向小次郎や双子の立花兄弟とのライバル関係も好きだった」と話す。また、フェルナンド・トーレスは「翼くんみたいになりたかった」ことがサッカーを始める動機になったことを話している。

 また、かつてバルセロナの中心選手としてプレーしたロナウジーニョも翼くんの大ファンだという。しかし、ブラジルで子供のころにアニメを見たというロナウジーニョは「日本ではとんでもなく広いグラウンドでサッカーをしている(地平線からゴールが見えてくる描写があるため)と思っていた」のだという。世界で最も上手にボールを扱う選手という評価をされたことのあるロナウジーニョもまた、大きな影響を受けていた。

 イニエスタはこの作品の最も好きなところとして「ネガティブなキャラクターがいないんだ」とも話している。翼くんやチームメートに加え、相手チームの選手として登場するキャラクターが魅力にあふれていることもまた、世界中のサッカーファンに愛される作品である所以なのだろう。

 日本で生まれて世界中で愛されるサッカー作品となったキャプテン翼は、これからも多くの子供たちにサッカーの魅力を伝え続けていくはずだ。