ドラフトの目玉、大阪桐蔭・根尾 (c)朝日新聞社
ドラフトの目玉、大阪桐蔭・根尾 (c)朝日新聞社

 2018年は高校野球の歴史において記念すべき年である。春のセンバツは90回、そして夏の選手権大会は節目の100回記念大会を迎え、ルール面でもタイブレーク導入という大きな変更が決定された。そして春、夏とも記念大会ということで甲子園出場校の数も増える。そこで今回は少し気が早いが夏の選手権で2校出場枠のある都道府県について、どこが最強の2チームを送り出す可能性が高いかについて、ここ数年の実績や秋の地方大会の戦いぶりから検証してみたいと思う。

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 まず出場枠が2校になる都道府県は例年であれば北海道と東京だけであるが、それに加えて千葉、埼玉、神奈川、愛知、大阪、兵庫、福岡の7地区も2枠設けられることになる。これらの計9都道府県のそれぞれの地区において、秋の地区大会のベスト8の学校を挙げると下記のようになる。

北北海道:旭川実 稚内大谷 旭川龍谷
南北海道:駒大苫小牧 札幌日大 立命館慶祥 北海道栄 函館工

北埼玉:花咲徳栄 上尾 栄北
南埼玉:市立川越 山村学園 浦和学院 埼玉栄 朝霞

東千葉:拓大紅陵 木更津総合 千葉黎明 東海大市原望洋
西千葉:中央学院 習志野 八千代松陰 流通経大柏

東東京:日大豊山 東海大高輪台 立正大立正 帝京
西東京:日大三 佼成学園 国士舘 明星

北神奈川:東海大相模 慶応 桐光学園 
南神奈川:鎌倉学園 藤嶺藤沢 横浜 横浜隼人 磯子

東愛知:愛産大三河 桜丘 大府 安城
西愛知:東邦 中京大中京 愛工大名電 愛知啓成

北大阪:大阪桐蔭 履正社 池田 箕面学園
南大阪:近大付 興国 大商大堺 大塚

東兵庫:神港学園 市立尼崎 尼崎小田 育英 関西学院
西兵庫:明石商 西脇工 淡路三原

北福岡:東筑 小倉 東筑紫学園 九州国際大付
南福岡:福岡工大城東 春日 筑陽学園 東福岡

 まず最も力があるのはやはり大阪で、過去10年間で春2回、夏3回の優勝を果たしている大阪桐蔭の存在が何より大きい。また、今年のチームは昨年春のセンバツ優勝メンバーが多く残っており、過去最強とも呼び声高いタレント集団だ。明治神宮大会では主力の調子が上がらずに準決勝で創成館(長崎)に敗れたものの、選手層の厚さは群を抜いており出場確実な今年のセンバツでも優勝候補の筆頭であることは間違いない。ただ大阪が痛いのは大阪桐蔭の最大のライバルである履正社が同じ北大阪に割り振られたことである。南大阪では中学時代から評判のサウスポーである大石晨慈を擁する近大付が有力ではあるが、2強に比べるとチーム力の差は大きいというのが秋までの印象である。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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