元横綱・日馬富士の暴行問題や、九州場所千秋楽での横綱・白鵬の言動を問題視した日本相撲協会は30日午後、東京・両国国技館で開いた定例理事会で一連の騒動について議論した。
理事会後の会見では、八角理事長(元横綱北勝海)が「世間のみなさまには大変申し訳なく思っております。どうも、すいませんでした」と謝罪し、頭を下げた。
理事会では白鵬を呼び、事情聴取。白鵬は28日にも「貴乃花巡業部長のもとでは冬巡業に参加できない」などと発言し、八角理事長からたしなめられたが、この日に厳重注意を受けた。
同日午後1時から開かれた理事会は、3時間半という異例の長さとなった。暴行を受けた貴ノ岩の師匠である貴乃花親方も出席したが、巡業部長の貴乃花親方は、次の巡業には参加しないことで決定した。
また、協会は貴ノ岩への事情聴取を求めたが、貴乃花親方は警察の捜査が終わった後に協力するとの意向を示したという。貴乃花親方は強硬姿勢を崩しておらず、騒動が収束する気配はない。
なぜ、ここまでこじれてしまったのか。日馬富士による暴行事件については現在でも情報は錯綜しているが、日馬富士が貴ノ岩にケガをさせたことは事実。協会からすれば、日馬富士が引退したことで幕引きにしたかっただろう。それでも貴乃花親方が“手打ち”を拒否するのは、現在の角界にあるもう一つの“疑惑”にもメスを入れるつもりだからだ。貴乃花親方の関係者は「相撲協会の理事の座を捨ててもかまわないという思いだ」と、覚悟を決めたうえでの行動であると話す。
そのことを示す発言もあった。貴乃花親方は29日、スポーツニッポンの取材に応じ、日馬富士の引退について「残念なことです」と語る一方、「現役のときに違う部屋の力士が酒席などをともにするのはどうなのか」とコメントした。
貴乃花親方は、弟子たちに他部屋力士との交流を厳しく制限していることで知られている。現役時代は“ガチンコ相撲”の力士として知られ、当時は他の部屋との力士との交流は控えていた。酒席を一緒にすることなどを通じて力士同士が“馴れ合い”になれば、土俵上での取組に「私情」が入ることにつながるからだ。