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うつ病を克服し、偏差値29から東大に合格。ベストセラー『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』の著者・杉山奈津子さんが、今や3歳児母。日々子育てに奮闘する中で見えてきた“なっちゃん流教育論”をお届けします。
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「子どもに英語を習わせたいんですが、やっぱり早いうちからのほうがいいですよね?」
私は勉強法の本も書いているので、よくこんな質問をされることがあります。
はっきり言ってしまうと、小さいころに英語をやってもあまり意味がないです。それどころか、「早くからやりすぎると弊害が出てしまう」ので、それならばやらないほうがマシだと思っています。
「雨の音がミの音に聞こえる」というような絶対音感は耳が急激に発達していく7歳くらいまでしか身に着かず、大人になってから得られるのは高低差を聞き分ける相対音感のみだと言われています。そのため、音に関しては2、3歳から音感の訓練をするのがおススメだそうです。
しかし、英語は音楽の「ドレミを当てる能力」とは違います。私は、中学生のころはまったく英語が聞き取れなかったけれど、受験でのリスニング訓練、外国人の友人との会話などにより、年を取ってからでも簡単な文章は大体聞き取れるようになりました。
もしかしたら耳が発達している幼児期に、ちゃんとした英語圏の先生の発音で教われば、少しは聞き取りが上達するかもしれません。しかし、それは大人になってからいくらでも習得できる能力であり、あえて幼少期から頑張る必要性もないかな、と思うのです。
子どもは大人と違い、既成概念にとらわれずに、ユニークな考えを発展させることができます。つまり、脳が発達し世界が広がっていく時期でもあるのです。幼児期に必要なのは、英語の学習よりも、そうした思考の発達だと思います。
そして思考は、言語によって行われます。もやもやした感情も、「おもちゃをとられた」「悔しい」「でも貸してあげたら」「きっと友達は喜ぶ」と、言葉によって組み立てられます。ただ、幼児期の子どもはまだ日本語が理解しきれていないので、その中に文法が根本的に異なる英語が混ざってくると、混乱してしまいます。