(撮影/写真部・松永卓也)
(撮影/写真部・松永卓也)
(撮影/写真部・松永卓也)
(撮影/写真部・松永卓也)

 いくつになっても笑顔が素敵な南果歩さんが、好評発売中の週刊朝日増刊Reライフマガジン「ゆとりら秋冬号」の表紙に登場。50代を迎え、乳がんを患い、最近はプライベートでも大激震があった。それでもいつでも前向きな南さんに、いまの心境をじっくりと聞いた。

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――撮影スタジオに現れた南果歩さんは、いろんな話題にケラケラと声を立てて笑う。まわりを明るくする笑顔が印象的だ。

 今年の7月9日からNHKBSプレミアムで8回にわたって放送されたドラマ「定年女子」では、南さんが主演を務め、大手商社の部長職にある深山麻子、53歳を演じた。ある日突然、部長職を解かれて「役職定年」し、人生の岐路に立たされる。同世代の主人公を演じて、南さんは何を思ったのだろうか。

南さん:仕事一筋で必死に生きてきた女性が、その仕事がなくなって立ち止まらざるを得なくなったところからドラマはスタートします。無職になり、女手ひとつで育てた一人娘をお嫁に出して新しい生活が始まる。

 私自身も結婚子育てで仕事をセーブしていた時期がありますから、いったん立ち止まった後に、人生がリスタートしていく感覚は、理解できるし、重なるところもありました。

 50代って、各世代やいろいろな立場の人をつなぐ要の世代だとも思うんです。だから人間関係は豊かになるけれども、一方では予測のできないことが起きて方向転換を余儀なくされるときでもある。そうした経験を経て、自分の人生の最終目標を定めるタイミングでもあるのかなと、演じながら思いましたね。

 私自身、40代までは、20代の延長に30代があり、30代の延長に40代があると当たり前のように思っていましたが、50代に入ったとき、ここからはそういう捉え方はできないなと思ったんです。特に根拠があったわけではありませんが、いつまでもこんなに元気ではいられないだろうと思ったし、いろんなことが今までどおりには、きっといかないんだろうなと、そんなことを感じました。そうしたらやはり、乳がんになったり、プライベートでも予期せぬことが起きたりと、自分の身にいろいろ降りかかってきました。

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