――オリジナル脚本だった前2作と異なり、『陸王』はいわゆる“原作もの”。読者一人一人に竹内演じる怪我に苦しむランナー、茂木裕人像がある。アプローチは変わるのだろうか。

 もちろん原作は大事にしたいですし、ベースはそこにあると思いますが、演じるのは僕なので。気持ちを込めて台詞を言えば茂木になると思っています。

 監督からは「原作と、台本を読んだときの自分の感覚を大事にしていい」と言ってもらいました。スポーツ選手の役なので、動きながらやってみないと分からないところがありますからね。

 原作だと割とクールな役なのですが、茂木は本当に陸上が好きでプライドもある。そうしたこだわりみたいなところは感情の起伏をつけ、一歩突き抜けてもいいのかな、と。

――礼儀正しく、端正な佇まいが印象的だが、現場に入ると、普段とは違う竹内になるのだろうか。やはり素の自分ではいられなくなる?

 どれも素ではあるのですが、ほかのキャストさんとご一緒するなかで、自分の居やすいポジションを見つけていく感じです。「僕はこうだからこうする」というのがあまりないので。

 ただ、家のリビングにいる状態で現場に行くかと言われたら、違うと思います。やはり見られているので。ロケにはファンの方もいらっしゃいますし、どこかでシャキッとしているとは思います。

(文/古谷ゆう子)

※「ゆとりら秋冬号」から抜粋