学習を進める中で古川さんが特にこだわったのが、自分に合った教材選び。インターネットで気になる教材を見かけてもレビューを鵜呑みにせず、必ず書店で実物に目を通してから買った。そうして選んだ教材の中でも、文法力強化のために「一番やり込んでいた時期で、1日に2周回していた」のが、『1駅1題 新TOEIC®TEST 文法 特急』だ。まずは1周目を解き、わからないところは解説や文法書などで確認。「しっかり理解したのだから、今度は全問正解できるはず」と自分に言い聞かせたら、間髪いれずに2周目を開始する、というのが当時の学習法だったという。

「こうすると、2周目に解けない問題があったときにすごく悔しい。だから記憶に残って、次からは解けるようになるんです。ややハードですが、同じ教材を1日に2周という方法は、おすすめですよ」

 勉強開始から1年9カ月後の2014年12月、当初の目標だった800点を獲得したときは、嬉しかったのと同時に「わからないことがあるうちは、TOEICの勉強を続ける」という新たな決意も芽生えた。正社員となった現在も、TOEIC受験は継続中。最高スコアは905点まで伸び、社内でTOEICの勉強会も開くようになった。

「よく『〇〇点しか取れなかった私が』みたいなTOEIC本、ありますよね? 僕のスコアはどの本のタイトルよりも低かったけど、ここまでできた。だから大丈夫、あなたにもできるよと伝えたいんです」

 次の課題は、TOEIC学習で身につけた知識を、スピーキングやライティングでアウトプットすることだ。現在は「まだまだ苦戦中です」。だが、もう一度4年前と同じ気持ちになれば、必ず克服できる。そんな手ごたえと自信も、感じている。(文・木下昌子)