「立憲民主党をつくったのは、枝野幸男ではありません。私の背中を押した“あなた”の政党、それが立憲民主党です」

 投票日が近づくにつれ、立憲民主の勢いは増している。各メディアの情勢調査などによると、北海道、北陸信越、東海、四国ブロックでは比例単独候補も含めて全員当選の可能性も出てきた。

 枝野氏にすれば“うれしい誤算”だろう。ところが、これが思わぬ事態を招いた。

 ツイッターなどのSNSでは、立憲民主が当選者数を増やすとの報道を受け、「立憲民主党は比例候補を少ししか出していないので、ほとんどが死に票になってしまいます」といった投稿が広まった。なかには、特定の政党への投票を呼びかけるものもある。

 公職選挙法では、比例で候補者不足となった場合、与野党に関係なく次の順位の政党に配分される。2009年の政権交代選挙では、民主党(当時)が小選挙区で大量当選し、近畿ブロックで2名不足した。05年の郵政選挙でも、比例東京ブロックで自民党の候補者が1名不足し、社民党に議席が渡った。ツイッターでの呼びかけはこういった過去の事例をふまえてのことだ。

 だが、各メディアの情勢調査では、立憲民主で候補者不足がおこることが確実な選挙区はない。

 先述した全員当選の可能性がある北陸信越、東海、四国ブロックでも、現在の比例予測議席の最大数を確保し、さらに1~2議席上積みしなければ候補者不足はおこらない。北海道では6つの小選挙区ですべて勝利すれば可能性があるが、与党候補者に劣勢の選挙区も複数あり、全勝は容易ではない。

 小選挙区との重複立候補者が多い北関東、東京、南関東をはじめ、その他のブロックでも候補者不足となる可能性は低い。

 候補者不足については、立憲民主の公式ツイッターも問い合わせが多数あったことを認め、「立憲民主党は出来たばかりの小さな政党です。全員が当選できるかわからない瀬戸際で頑張っています。(中略)大切な一票はぜひ、ご自身が応援する党に入れてください」と呼びかけた。
 

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