大型で強い勢力の台風22号が、10月22日の総選挙投開票日に向けて日本列島に近づいている。一方、選挙戦では立憲民主の枝野幸男代表が各地で旋風を巻き起こしている。
とにかく人、人、人だ。19日夜に東京都千代田区のJR秋葉原駅前で開かれた街頭演説会では、肌寒い気温で雨も降るなか、3千人の聴衆が集まった。
秋葉原といえば、安倍晋三首相が重要な選挙の最終日にいつも演説会を開く場所で「自民党の聖地」とも呼ばれている。今年7月の東京都議選最終日でも安倍氏が演説。「安倍ヤメロ」コールに「こんな人たちに負けるわけにはいかない!」と絶叫したことでも話題となった。ただ、その時に集まった聴衆は2千人(主催者発表)。19日夜の立憲民主の演説会では枝野コールも繰り返され、安倍氏のお株を奪う「枝野フィーバー」だった。
出張を予定より早く切り上げて参加したという、千葉県市川市在住の男性会社員(40代)は言う。
「ようやく日本に自分たちのための政党が生まれた。立憲民主党は国民に政治参加を呼びかけていますから、選挙の応援ぐらいは行かなければと思った」
この男性は、枝野氏の演説を生で聴いたのは2回目。今回は、後で聴き直すために演説の内容を携帯電話で録音したという。
なぜ、枝野氏にここまで期待が集まるのか。そこには、枝野氏が演説で話す3つのキーワードがある。
一つ目は「下から」。15年9月に成立した安保法制をはじめ、強行採決を繰り返した安倍政権を「上からの民主主義」と批判する。それに対して枝野氏は「下から、草の根の民主主義を取り戻す」と呼びかける。
二つ目が「前へ」。選挙前には小池百合子東京都知事率いる希望の党が「保守二大政党制」を目指してリベラル派を排除した。これを意識して「今はイデオロギーの時代ではない」と訴える。そこで生まれたフレーズが「右でも左でもなく、前へ」だ。
そしてスピーチの最後で触れるのが「あなた」だ。この日の演説でも、新党結成を悩んでいる時、多くの人から「枝野立て!」と声をかけられたことを紹介して、こう語った。