少し想像力をはたらかせてみよう。この記事を読んでいる人の中にも、ドナルド・トランプが、アメリカ大統領になったことに危機感を覚えている人は、少なからずいるはずだ。

 日本でも、極端な主義主張を持った、悪い意味で型破りな人間が総理大臣になる可能性はある。その時にも、共謀罪があったほうがいいと思えるだろうか。

 僕には、到底そうは思えない。

 このままの状態で、共謀罪が成立に向けて進んでいくのだとすれば、それは将来に大きな不安の種を残すことになる。僕は、政府に都合が悪いからといって、言論や活動が弾圧されるような社会であってほしくはない。

 当たり前に「戦後」だと思っていた社会が、また新たな「戦前」へと歩みを進めてしまうようなことは、何があっても避けたい。

 危険性にきちんと目を向けて、真剣に議論をすべきだ。

 そしてそれは、国会議員だけでなく、この社会に生きる全ての人々に、今問われていることだと思う。

 みなさん、まず手始めに、金田法務大臣のこれまでの答弁を検索してみてください。そして原稿ばかりに目を向け、うつむきながら、答えにならない言葉を発している大臣の様子を見たら、どう思われるでしょうか……。(諏訪原健)

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諏訪原健

諏訪原健

諏訪原健(すわはら・たけし)/1992年、鹿児島県鹿屋市出身。筑波大学教育学類を経て、現在は筑波大学大学院人間総合科学研究科に在籍。専攻は教育社会学。2014年、SASPL(特定秘密保護法に反対する学生有志の会)に参加したことをきっかけに政治的な活動に関わるようになる。2015年にはSEALDsのメンバーとして活動した

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