変形性膝関節症ですり減った軟骨は若い時のようには戻りませんが、治療により痛みを軽減したり、進行を食い止めたりすることはできます。歩かないことで筋力が低下するとさらに歩行が困難になるため、水中歩行などの運動療法がすすめられます。ひざの上部の大腿(だいたい)四頭筋を鍛えるトレーニングや生活改善も重要です。ひざの負担を減らすため、テーブルとイス、洋式トイレ、ソファなど洋式の生活にし、ひざを過度に曲げないようにしましょう。

 変形性膝関節症でも初期や軽症のときには、筋力トレーニングや生活指導で痛みが改善しますが、重症になると治りにくくなります。痛みが強く、長く続く場合は整形外科を受診しましょう。医師の診断を受けた上で、病気の重症度や治療法についてアドバイスを受けることをおすすめします。

 一般的には、トレーニングと並行して湿布薬、関節内注射など、痛み止めの薬を使います。痛みが治まってきたら、ストレッチや筋力トレーニング、ウオーキングなどの運動療法を積極的におこないましょう。痛み止めを使いながらでも運動をして筋力を鍛えることで、筋肉が関節を支え、関節への負担を軽くすることにつながります。運動は、医師の指示にしたがって無理のない範囲でおこない、短時間でも毎日続けることが大切です。

 薬や運動療法で改善せず、痛みが強くなったり、筋力が低下し歩行が困難になったりした場合は、人工関節を入れる手術を検討することもあります。

※週刊朝日MOOK「痛い!首腰ひざのいい病院2017」より抜粋