心配なことや不安な点は、専門家にどんどん相談しましょう(※イメージ写真)
心配なことや不安な点は、専門家にどんどん相談しましょう(※イメージ写真)
「有料老人ホーム・介護情報館」館長の中村寿美子さん
「有料老人ホーム・介護情報館」館長の中村寿美子さん

 いざ、自分の親や近しい人がホームに入るとなれば、「元気にやっていけるのか」「周囲に溶け込めるのか」――などの不安を抱える人も多いかと思います。特に入居前は、わからないことの方が多く、入居者の希望がかなうのかなど、心配な点が多いでしょう。そこで、週刊朝日ムック『高齢者ホーム2017』に掲載した、「有料老人ホーム・介護情報館」館長の中村寿美子さんの「介護のお悩み相談室」を特別に公開。中村さんにさまざまな悩みに回答いただきました。

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【お悩み その1】退院する父が安心してリハビリできる場所は?(47歳女性)
 80歳の父が大腿骨を骨折して、回復期リハビリ病院にいます。来月には退院ですが、父にはこの先もリハビリを続けてほしいと思います。退院後は介護付き有料老人ホームへの入居を考えています。ホームでもリハビリは受けられますか。

【回答】
 おおまかに分けると、リハビリには「急性期」「回復期」「維持期」があり、それぞれの段階で目標をたててリハビリを進めます。これまでお父さまは、医師や理学療法士(PT)、作業療法士(OT)などの専門家がチームを組んで治療にあたる集中的なリハビリを受けてこられたと思いますが、これからは、機能を維持するためのリハビリとなります。

 有料老人ホームは治療の場ではなく、生活の場です。そのため、どうしても集団で行うリハビリ体操や、日常の動作をリハビリと捉える「生活リハビリ」が中心となります(医師が必要と認めれば、医療保険による訪問マッサージなどを受けている場合もあります)。一方で、他の施設との差別化を図るためにリハビリに力を入れているホームもあります。そういうところでは、マシンや機能訓練室が充実していて、常勤のPTやOTが複数配置されています。

 ただ、ホーム選びで重視すべきは、お父さま本人が今後どういった生活を送りたいかということではないでしょうか。リハビリだけに固執するのではなく、お父さまが心地よい環境で幸せに過ごせることを念頭においてホームを選ばれるのがよいと思います。

【お悩み その2】両親が老人ホームに入ると言い出した(47歳女性)
 80代の両親と私の3人暮らしです。両親から「自宅を売却して夫婦で有料老人ホームに入ることにした」と言われ、憤慨しています。元気で何も困っていないのに、家を売ってまでホームに入ることはないと思うのですが、私の考えはおかしいですか。私は仕事もしており、金銭的に困っているわけではありません。

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