ドラフト4位の戸柱恭孝捕手も、経験が重宝されるポジションながら、定位置をガッチリつかんだ。捕手としてチーム最多の110試合に先発出場。投手陣を引っ張り、前半戦は防御率リーグ2位と健闘した。盗塁阻止率2割ちょうどはリーグ最低、捕逸はリーグ最多の8と守備に課題もあるが、代打も含めた出場は124試合。新人捕手で出場120試合以上は、07年嶋基宏(楽天=125試合)以来で、セでは01年阿部慎之助(巨人=127試合)以来だ。それほど、プロ1年目から正捕手をつかむのは難しいということを証明するデータだ。

 主力級の活躍をした前記3人以外で、新人として及第点なのは次の4投手だ。2勝8敗、防御率5.91ながら、序盤戦は先発ローテーションを守ったドラフト1位の原樹理(ヤクルト)。15試合に先発し、4勝3敗1ホールド、防御率3.02で広島のリーグ優勝に貢献した岡田明丈。ドラフト5位ながら12試合に先発し、4勝5敗、防御率3.29の青柳晃洋(阪神)。高卒ルーキーながら15試合に登板し、2勝(6敗)を挙げた小笠原慎之介中日)。中日で高卒1年目に白星を挙げたのは、89年の今中慎二以来。2勝以上は88年の上原晃(3勝)以来28年ぶりの快挙となった。昨夏の甲子園優勝投手は、将来性の片りんをのぞかせた。

 チームの期待が高かった中で、残念ながら十分な働きで応えられなかった選手もいる。巨人のドラフト1位、桜井俊貴は開幕5試合目に先発も5回途中で4失点KO。翌日に登録抹消されると、1軍に戻ることはなかった。広島のドラフト2位、横山弘樹も同様。開幕5試合目に先発して初勝利を挙げたが、5月7日に2軍落ち。以後は1軍に復帰することなく、6試合で2勝2敗に終わった。野手では中日にドラフト3位でトヨタ自動車から入団した木下拓哉捕手。谷繁元信監督が現役引退し、若手捕手の台頭を待望されたチーム状況だったが、1軍初出場が8月と遅すぎ、先発出場はわずか4試合だった。

 いずれの選手も、アマチュアより長いプロのペナントレースを乗り切る体力をつけた時、真価を発揮すると期待したい。勝負は始まったばかりだ。(文=日刊スポーツ・斎藤直樹)