これは、英語のできない人間からすると、かなりショッキングな内容だが、望みが全くないわけでない。この遺伝子を持たない子どもは、「とにかく生まれた時からコツコツ、10年間続けることが重要」(池谷さん)。ただ、これを実践した場合、母国語である日本語の能力に問題が生じる場合があるとも指摘する。母国語の力がなければ、第二外国語の能力も育たないため、まずは母国語をしっかりと身につけること。「大人になって結局どちらの言葉も中途半端になるという危険性は回避すべき」だそうだ。

 じゃあ、どうすれば……と思った人も多いだろうが、「あと10年もすれば翻訳はすべてAI(人工知能)がやってくれる時代になる」(池谷さん)とのこと。そのため、将来は語学力ではなく、人の気持ちに届くコミュニケーション力が重視されるという。

 文頭の例を考えてみると、たしかに語学力以前に、外国人に話しかけられたことで舞い上がってしまい、うまく英語が話せない日本人が多いことも想像に難くない。中学、高校と義務教育の過程で少なくとも6年は英語を学んでいるのだから、あとは何を伝えたいかというコミュニケーション力。これは将来の子どもたちだけの話でなく、今の日本人にあてはまる事実ということもできそうだ。

【関連リンク】
子どもをバイリンガルにするには?――出産準備サイト
http://baby.mikihouse.co.jp/information/post-3937.html