テレビでコメンテーターとしても活躍する教育アドバイザーの清水章弘さんは、バイオリニストの妻・松尾依里佳(えりか)さんと7歳の娘、2歳の息子の4人家族です。教育の専門家として保護者や学校関係者から相談を受けることも多い清水さん。ご自身はどのような子育てを行なっているのでしょうか。幼少期にご両親から受けた教育や私立の進学校に通っていた中学時代のエピソードについても聞きました。※後編<【清水章弘&松尾依里佳、東大卒・京大卒夫婦の子育て 「好きなことに没頭する生き方を子どもたちに示していきたい」>に続く
【写真】清水さんが家庭で実践する「楽しい勉強」アイデアを写真で見る(全7枚)3人兄弟の末っ子 「自由にやりなさい」と言われて育った
――教育の専門家である清水さんご自身は、どのような教育を受けて育ったのでしょうか?
僕は3人兄弟の末っ子です。3人目ということで、両親も気楽に構えていたんでしょう。いつも「章弘は何でも自由にやりなさい」と言われて育ちました。

僕の母の教育方針は、とにかく子どもたちに頭を使わせることでした。ちょっとした試練を僕たちに与えて、それを乗り越える方法を考えさせるんです。例えば幼稚園の遠足では、わざとお箸を1本しか入れずにお弁当を持たせたことがありました。事前に先生に相談した上で3人兄弟全員に試したところ、上の兄は先生に借りて、2番目の兄は友だちから借りて、僕は1本の箸を半分に折って2本にして使うと、それぞれ解決方法は違っていたそうです。このときの対処の仕方でそれぞれの性格を把握してその後の子育ての参考にしたと、後から聞きました。

――中学は受験をして、海城中学に進学されました。
上の兄も海城に通っていて、とてもいい学校だということで受験したんです。中1のときに生徒会副会長に立候補して、昼休みの選挙演説では「今の生徒会は気合が足りない!」と、バケツで水をかぶるパフォーマンスを披露しました。それしか選挙活動はしていないのですが、結果、トップ当選でした(笑)。
――なぜ教育学の道に進んだのでしょうか?
大学で教育学を学びたいと思うようになったきっかけは、中学のときの社会科の授業でした。海城中学では中学2年生から3年生にかけて、社会科の授業で「卒業論文」を書く伝統があります。興味のある社会問題から論文のテーマを選び、大学教授などの専門家に自らアポを取って取材をするのですが、当時は社会問題に対してそれほど強い関心はありませんでした。
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