主君を思う海舟の心に感動した隆盛は、無血開城を決断します。無血開城とは、文字どおり血を流す(殺す)ことなく城を明けわたすこと。隆盛によって、平和的に明治維新のきっかけが作られたのです。

●やばい西郷隆盛 太りすぎて死にかけ犬を飼う

 明治時代になり、戦争ではなく政治の時代が来ると、隆盛の出番はなくなりました。

 すると、ヒマになった隆盛は、どんどん太りだしてしまったのです。東京の上野恩賜公園に犬をつれた隆盛の銅像がありますが、あれは医者に「このままだと太りすぎで死ぬから、ダイエットのために犬を飼いなさい」とすすめられて飼った犬です。

 1877年、隆盛は新政府に不満をもつ若者たちのリーダーにさせられ、西南戦争を起こして負けてしまいます。でも、切腹するときも男気を忘れず、犬たちだけは助けたいと首輪を外して逃がしてやったそうです。

(本原稿は、東京大学史料編纂所教授 本郷和人監修『東大教授がおしえる やばい日本史』の内容を編集して掲載しています)