貫井徳郎(ぬくい・とくろう)/1968年、東京都生まれ。早稲田大学商学部卒業。93年、『慟哭』でデビュー。2010年、『乱反射』で第63回日本推理作家協会賞長編及び連作短編部門、『後悔と真実の色』で第23回山本周五郎賞受賞。『迷宮遡行』『私に似た人』など著書多数(撮影/写真映像部・佐藤創紀)
『ひとつの祖国』/第2次世界大戦後、日本は東日本と西日本に分断。統一されるが、東西の格差は激しく、一条昇たち東日本出身者は二等国民扱いされていた。一条は東日本の独立を目指すテロ組織に、意図せず加担することに。一条を追うのは、幼なじみで自衛隊特務連隊所属の辺見公佑。2人の青年の友情が交差する架空の日本が舞台だが、今の日本の富裕層と困窮層の分断を東西に置き換えたようなリアリティーに満ちた極上ミステリー小説だ