問題は木材の種類だ。体幹のヒノキ、腕のスギ、手のキリはほぼ確実と思われたが、体を切り開いて確かめることはできない。確証に欠けることは間違いない。どうしたら正解が得られるか。
そこで思いついたのが、CT画像に写る心木の木目から樹種を特定する方法だ。
まず研究チームはAI(人工知能)に注目した。木の細胞の画像をたくさん覚え込んだAIに、CTが写し出した心木の画像を読み取らせることで、木の種類を判断してくれるはずだ。そこで、AIによる樹種同定を進めている京都大学生存圏研究所教授の杉山淳司さんに協力を依頼した。
そしてAIが弾き出したのは、「心木は、カヤとアカマツでしょう」という答えだった。
「ええ、うそっ?」
研究グループは意外な答えにとまどうばかりだった……。
阿修羅の研究はまだまだ続くのである。(朝日新聞編集委員・小滝ちひろ)