夏の県大会1回戦、種子島戦、初めて県立鴨池球場のマウンドに立った松山は初回、先頭打者に内野安打を許し、犠打で1死二塁のピンチを招いた後、球が高めに浮くところを狙われ、連続長打で2点を先制される。5回にも長打などで2点を奪われた。

 2対4で迎えた8回2死二塁、浅野孝浩監督の「三振するつもりでいい」の言葉を思い出した松山は、前の打席で凡打に打ち取られたカーブを鋭くとらえ、右中間を破るタイムリー三塁打。次打者・宮元智博もレフトへ痛烈な当たりを放つ。三塁から松山が同点のホームを踏んだかに思われたが、レフトの超美技に阻まれ、幻の同点劇となった。

 その裏、エラー絡みで追加点を許し、3対5で無念の初戦敗退。松山は奪三振11を記録しながら、被安打6で5点を奪われるという不運。打線も松山の2安打を含めて相手を上回る9安打を放ち、再三得点圏に走者を進めながら、あと1本が出なかった。

 昨年のセリーグ首位打者・宮崎敏郎(DeNA)は“ハンカチ世代”の一人で、厳木のエース・4番。佐賀県下でも屈指の好投手だった。

 2年秋、3年春の県大会で連続ベスト8入り。甲子園を目指した最後の夏は、初戦(2回戦)で唐津東と対戦した。4月のNHK杯予選では、3対0で勝った相手である。2、3回に1点ずつを取り、2対0とリードしたが、4回以降は毎回のように得点圏に走者を進めながら、山口和久の粘投の前になかなか追加点が取れない。

 一方、4回に1点を返した唐津東は、7回まで4安打に抑えられたが、コントロールが不安定な宮崎のボール球を見きわめ、球数を多く投げさせながら、反撃のチャンスを待った。

 そして、2対1で迎えた8回、130球を超えた宮崎は2死二塁から6番・井上秀に左中間二塁打を許し、同点。さらに2死一、二塁で8番・平田昌志が宮崎の直球に詰まりながらも、中前にポトリと落とし、2対3と逆転された。

 春の県大会では本塁打を放つなど、長打力をアピールした打撃も、この日は4打数1安打に終わり、まさかの初戦敗退に泣いた。

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期待の若虎も投手だった…