2014年夏の甲子園準Vの三重は、決勝でも大阪桐蔭と3対4の大熱戦を繰り広げるなど、全員野球で旋風を巻き起こしたが、実は、同年は県大会であわや敗退の窮地を“恵みの雨”に救われていた。

 県大会準決勝の相手は、初の4強進出で意気上がる稲生。1回に1点を先行すると、1対2の2回にも嶋野佑樹の2点タイムリー三塁打で逆転。そして、4対3の5回にも下位打線の連打で2点を加え、6対3とリード。

 なおも1死二、三塁、1番・川原将司の場面で、三重はエース・今井重太朗を投入したが、遅きに失した感もあった。

 ところが、カウント2-2になったところで、激しい雨が降りだし、試合中断。33分後にノーゲームとなった。「相手の気迫に押されていた。ノーゲームはついている」(中村好治監督)

 雨に救われた三重は、翌日の再試合で今井が10奪三振の好投。稲生は前日のノーゲームも含めて一人で482球を投げ抜いてきた右腕・吉村浩二が疲れから7四死球と乱れ、明暗を分けた。

 再試合を5対1でモノにした三重は、決勝でも菰野を14対1で下し、2年連続12回目の甲子園切符を手にした。

 ゲームセットで甲子園出場決定と喜んだ直後、判定訂正で仕切り直しとなり、一転逆転負けというどんでん返しが起きたのが、2016年岡山県大会決勝、玉野光南vs創志学園。

 玉野光南が1対0とリードして迎えた9回表、創志学園は1死一塁で1番・難波侑平(現日本ハム)が投ゴロ。1-6-3と転送され、併殺でゲームセットに見えた。

 3年ぶりの甲子園出場を決めたと思った玉野光南ナインは、マウンド付近で歓喜の輪をつくった。

 ところが、球審が「フェア」とコールした打球に対し、一塁に向かって数メートル歩を進めただけの難波は「左足に当たりました」と自打球によるファウルをアピール。一、三塁コーチとベンチからの伝令も加勢したが、審判団は抗議を受け入れず、試合後の整列のため、本塁ベースの後ろに並んだ。

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甲子園出場が幻に…