直接のアドバイスは受けていないけれど、他人の期待を裏切りたくないと自分自身で背伸びをしてきたことがあるかもしれません。でも自分に合わない生き方を、無理にする必要はないのです。『西の魔女が死んだ』(梨木香歩/著)のなかでは、不登校の女の子はおばあちゃんからこんなアドバイスをされています」

<自分が楽に生きられる場所を求めたからといって、後ろめたく思う必要はありませんよ。サボテンは水の中に生える必要はないし、蓮の花は空中では咲かない。シロクマがハワイより北極で生きるほうを選んだからといって、だれがシロクマを責めますか>(『西の魔女が死んだ』より)

「HSPの人にとって学校は苦痛が多い場だったと思います。先生の怒鳴り声や教室内の騒音は、すごくつらかったでしょう。でもこれからは、自分が生きやすい場を選んでいいんです。HSPは病気ではないし、治すべきものでもありません。であれば、自分にとって生きやすい生き方を選んでいいということなんです。

 最後の3点目はダウンタイム(休憩)をとることです。HSPは気持ちが高ぶってしまうと、たとえそれが楽しいことでも夜、眠れないことがあります。なので興奮状態に任せず、休憩をとって自分を調節してあげてほしいと思っています。

 もし今日、自分がHSPだと知ったのならば『HSPについて知ること』『バウンダリー(心の境界線)を引くこと』『ダウンタイム(休憩)をとること』、この3点を知ってもらえればと思っています」(明橋さん)

 HSPや発達障害など医療現場から新しい発見があるたびに「子どもを選別するラべリングになる」と指摘されます。また新しい名前が付いたことによる周囲の無理解な対応が、より当事者を傷つけることがあります。しかし、明橋さんのメッセージは、誰にでも必要なアドバイスではないかと私は思いました。こうしたアドバイスとともに、HSPへの理解が広まり、誰もが生きやすい社会になっていくための議論が深まればと思っています。

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