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なぜか生きづらい。細かいことを気にしすぎる自分が嫌い。そんな「ひといちばい敏感な大人(HSP)」が、実は5人に1人の割合でいるという。精神科医・明橋大二さんは「HSPは病気ではないし、治すべきものでもない、自分にとって生きやすい生き方を選んでいい」と指摘する。不登校新聞の編集長、石井志昂さんがリポートする。
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「掃除機や電話の音はどうしても苦手です。ほかにも救急車のサイレン音や騒がしいレストランも苦手だし、なにより『怒鳴り声』はホントに苦手です。たとえ他人が怒られていたとしても、自分が怒られているような衝撃を受けてしまうというか、すごく動揺してしまうんです」
そう語ってくれたのはAさん(32歳・女性)。小さいころから「神経質すぎる」「気にしすぎだ」と言われ自分でも自分を責めてきました。しかし、どうしても大きな音や怒鳴り声などには耐え切れず、高校1年生のときに不登校になり、学校を中退しました。現在は結婚してパートで働いてもいますが、大きな音が苦手なのはいまも変わっていません。そんなAさんが昨年、ネットで「HSP(Highly Sensitive Person)」の記事を発見し、「自分はまさにこれだ!」と思ったそうです。
2015年に『ひといちばい敏感な子』(エレイン・N・アーロン著)という本が出版され、「HSC(Highly Sensitive Child)=ひといちばい敏感な子ども」が話題になりました。HSCはHSPの子ども版です。Aさんは、いわば「大人のHSC」。こういう方は、研究結果によれば5人に1人いると言われています。
■大人のHSP、その特徴は?
HSPの特徴は23項目あります。文末にセルフチェック(自己診断)リストでもあるので、自分が当てはまるものがあれば、その数を数えてみてください。12個以上に「はい」と答えた人、または「はい」が1つや2つしかなくても、その度合いが極端に強ければ、HSPの可能性があります。冒頭のAさんの場合は23個中22個の項目が該当していました。