HSPは生まれ持った特性であり、人種、性別、年齢差はありません。本書を翻訳した精神科医・明橋大二さんも「HSPは性格の欠陥や障がいや問題ではない」と訴えており、HSPの人自身を変えようとするのではなく、HSPの人も生きやすい社会へと変えていく必要があると指摘しています。
しかし、社会がすぐに変わるわけではありません。周囲がHSPを理解することは前提だとしても、自分がHSPだと知った人は、どんな対策をたてることができるのでしょうか。明橋さんからお話をうかがいました。
■精神科医・明橋大二「自分がHSPだと初めて知った人へ」
「今日、初めて自分がHSPだと知った人、あるいは『HSPかも』と思った人がいれば、3つのことをお伝えしたいと思います。
1点目は『HSPについてくわしく知ってもらいたい』ということです。
これまで人とちがうことで『神経質すぎる』『臆病だ』と言われてきたかもしれません。また、つい動揺してしまったり、いっぱいいっぱいになることで『ワガママなのでは』と自分を責めたことがあるかもしれません。でも、けっしてそうではないんです。HSPは生まれ持っての特性です。人種や男女差もありません。研究結果によれば5人に1人がHSPです。これまでは自分のことをネガティブに捉えていたかもしれませんが、あなたの敏感さは長所でもあるのです。HSPのなかには、人の気持ちにすぐ気がついたり、するどかったり、創造力が豊かだったり、すばらしい人がたくさんいます。またすべての人間が非HSP(敏感でない人)であれば、すぐに人類は滅んでしまったでしょう。おそらく一定数の『敏感な人』が、人類の存続に大切な役割を果たしてきたのだと思います。
2点目は『バウンダリー(心の境界線)を引いていい』ということです。他人はよかれと思ってあなたへアドバイスをすることがあります。なかには『強くならないと生きていけない』と言う人もいるでしょう。でも結局、他人は他人。自分のことをすべて分かっているわけではありません。その人がよかれと思ったアドバイスが不適切な場合もあります。なのでそういう人とは一定の距離をとっていいのです。