今季のメジャーリーグ、そして日本のプロ野球が開幕し、約1カ月がたった。熱心なファンなら毎日のように順位や個人成績をチェックし、好プレーの動画などに目を通すことだろう。だが、そうしたファンの方ならご承知のように、日米の公式サイトのサービス充実度には“雲泥の差”がある。
その公式サイトのサービスの差を語るには、まず根本的な日米の違いを抑えておく必要がある。メジャーリーグは全球団のオーナー共同出資で『MLBアドバンスト・メディア』というネットサービス運営会社を設立して動画配信を展開しているように、放映権などの収入関連やサービスについては一括管理、収益分配という手法が取られている。
一方で、日本では伝統的に個々の球団がそれぞれの手法で経営を行っており、NPBといえども全権を握っているわけではない。そもそも、プロ野球チーム単体で黒字経営を目指すという意識に乏しく、親会社の宣伝媒体としての球団という扱い方をされてきたこともあり、リーグ全体での黒字化、相互扶助の精神は育ちにくかった。個人主義で自己責任の米国、集団化して助け合う日本という一般的なイメージとは真逆だったのだ。
もっとも、最近は日本球界にも変化の波が訪れており、パ・リーグ球団は協力体制を実現。『パ・リーグTV』によるライブ配信や、球団公式ページの共通フォーマット化を実現している。
さて、話を公式サイトのサービスに戻そう。メジャーリーグ公式サイト『MLB.com』は、ここで手に入らない情報、受けられないサービスはないのではないかというくらい充実している。試合映像のライブ配信はもちろん、全球団の全選手についてデビュー以来の成績を余すことなく掲載。得点圏打率や打者・投手別の対戦成績など細かいところまで網羅している。それは現役選手のみならず、引退した過去の選手まで全てだ。
さらに、最近ではレーダーや高性能カメラを駆使して瞬時にデータを取得して分析・映像化する「スタットキャスト」や、ポップな話題に遊び心満載で切り込む「Cut 4」といったコンテンツも充実。さらに、各種通販も充実しており、ファンは目当ての選手のキャップなどのグッズから試合のチケットまで楽々と購入可能となっている。