すごくありました。大学くらいから色んなことをやっていましたけど、一人でアーティストをやりたいって思ったんです。でも、なかなか難しくて。先輩方に恵まれていたのでスタジオミュージシャンとして歌手の方のレコーディングに参加したり、伴奏をつけるアレンジャーの仕事をしたり、後ろの仕事もすごく面白かったです。

 でも、自分の仕事もやりたいなと思い始めて。そこからの数年間は一番悩みましたね。27、28歳あたりで「これはもう無理なんだろう」って思った時期もありました。辛かった時期は売れている人のライブを見るのが嫌でした。ライブを見て、泣きながら帰ったりしていましたね。「ダメだったんだ私の人生は……」っていう(笑)。あの時はきつかったです。

――そういうときは何が支えになるんですか?

 とにかく仕事でした。私はこんなにちゃんと仕事をして、生活の基盤がちゃんとできていて、独り立ちできているんだ!ということを自分に言い聞かせていました。歌手の方のバックで演奏するスタジオのお仕事をして、キャリアを積もう!と。キャリアだけが私の支えだ! と(笑)。すごく思い込んでましたね(笑)

――でも、それで生活ができるのも一握りですよね。

 すごくラッキーでしたね。先輩、環境に恵まれました。20代前半はがむしゃらに色んなことをやっているだけなんですけど、どうも日本だと女性って年齢とかをすごく気にする傾向にあるから、「難しい、生きづらい」って勝手に思っていましたね(笑)。

――女性特有の焦りもありますよね。これから挑戦したいことはありますか?

 まずは新しいアルバムを色んな人に聴いてもらいたいです。皆さんの日々の生活の中にどう寄り添えるのか、どんな反応が返ってくるのかを見てみたい。今、音楽が多様化しているので、このアルバムがどういう風にリスナーに受け取られるのかとても興味があります。歌が入っていない、楽器だけで演奏した曲に馴染みのある世代となると上の世代が多くて、40代くらいが一番慣れているのかなという気もします。ただ、今はアニメとかゲームがすごく流行っているから、若い子たちも耳は慣れているはずなんです。それと、バイオリン人口を増やすとかもやってみたいことの一つですね。何か新しいことをやって、ブームみたいなものを作り出せればなと思いますね。

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